８ 星空の下で�� ページ25
「漱いでから飲め」
そう言って水を渡すと、自分は汚れた地面を綺麗にする。
リヴァイは、動揺しながらも水を飲むの姿を確認すると、持っていたタオルを濡らして顔や手の汚れを拭き出す。
「いい…自分でできる」
止まっていた思考が動き出したウィルはタオルを奪い取る。
「てめぇは此処が片付いたら、早急に風呂に入って寝ろ」
「リヴァイ……」
「なんだ」
「ありがとう」
この場を片付けるリヴァイは早く行けと、屋上からウィルを追い出す。
実は、まだ資料作成が残ってるウィルは自室へ戻った。
先程とは違って頭が回るようになったため、四時にはシャーディスの元に報告書を届けることができた。
そのまま、風呂場に直行して汚れた髪や身体を何度も何度も洗い流す。
誰もいない静かな脱衣所で濡れた髪をタオルで巻き、服を着ると汚れた兵服を持って自室へ向かう。
そこは、ついこの前までイザベルと共に過ごした場所。
当初はイザベルの私物はほとんど無かったが、少しずつ増えていた。
こんなにも早く遺品整理をしないといけない日が来るなんて思っていなかった。
生きて帰れる保証なんてどこにも無かったのに。
濡れた髪をタオルで拭きながら、このまま布団に入っても寝れそうにないと思ったウィルはまた屋上へ向かう。
外に出ると濡れた髪に冷たい風が当たり、少し寒さを感じた。
そこにはまた、風呂上がりであろう兵服姿ではないリヴァイがいた。
「さっきは迷惑かけてごめんね」
汚れていた時と違ってすぐ側に腰を下ろすと、リヴァイに謝罪をする。
「早く寝ろと言ったはずだ」
「仕事が残っていたからね…
風呂に入ったらもう元気になったよ。」
しばらく沈黙が続くと、リヴァイは肩に僅かな重みを感じる。
横目で見ると、ウィルはリヴァイにもたれて目を閉じていた。
「おい、何のつもりだクソ女」
ウィルから返事は返ってこない。
「その濡れた髪でこんな所で寝るな」
「……」
「……」
起きそうになかったため、毛布を取ってきてウィルの頭から被せてその場を立ち去ろうとする。
「行かないで……
……兄さん｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：earthn | 作成日時：2019年8月5日 6時
