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義父と母による扱いは、まるで化け物でも飼っているようなものだったが、少女はそれに対して特別反抗の色も見せずに生活していた。
理由は兄の対応が少女にとっての救いだったからだ。
家の中での居場所を無くしてから、庭の用具庫で一日を過ごすようになった少女の元に義父からの目を盗んで共に遊んでくれる。
そんな兄を心の底から信頼し、血縁関係はなくとも唯一の家族だと思える存在であった。
『お兄ちゃん、また遊びに来たの…？』
「当たり前だろ。僕はお前のお兄ちゃんなんだから。」
『でも、私と遊んでるとお義父さんに怒られちゃうよ。』
「僕が怒られるくらいどうってことないよ。どうせ父さんは僕を自分の人生と切り離せないんだから。」
そう言う兄の目は、何時だって違う居場所を求めているような、そんな淀んだ目をしていた。
「何時も父さんがごめんな。僕からも言ってはいるんだけど、やっぱり聞いてくれなくてね。」
『いいの。私はここにいる方が落ち着くから。』
実の父親の歪んだ思考をどうにかして改善させようと説得を続けている兄の姿を少女は外からよく見ていた。
失敗するのは目に見えていることだが、兄は必死に少女を守ろうとしていてくれた。
通学している学校のことの他にも社会情勢等の様々な事を学があった兄は少女に教え、話した。
二人の秘密の会話は数年に渡って続いた。
そして少女が十三になる頃。
何時ものように話に来た兄の様子が少し変だった。
眉間に皺を寄せて、神妙な面持ちで何かを考え込んでいる様子だった。
『お兄ちゃん…？』
少女が心配そうに問いかけると、兄は視線を合わせたあと暫くまた黙り込み、それから意を決したように少女の肩を掴んで、口を開いた。
「…A、この家から出て僕と一緒に暮らそう。」
初め、突然言われたその言葉を瞬時に理解出来ず唖然としていたが、自分の肩を握る兄の手の力がより一層強まり、それではっとした。
『暮らす…？お義父さんとお母さんをおいて…？』
「そう。一人暮らしをする事に父さんは文句ないって。だから住む場所も心配いらない。」
「僕が出立するとAが一人になる。そうしたら父さんはどうなると思う？」
『お家から追い出される…？』
「…ああ。今よりも状況が悪くなって、Aに苦しい思いをさせてしまう。僕はそれが嫌だ。だから、兄ちゃんと一緒に暮らさないか。」
その日の兄の眼差しを少女は今も忘れたことはない。
ヒーローの様なその眼差しを。
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黒凛蝶(プロフ) - 霧雨さん» 閲覧、コメント有難うございます！悩みに悩んだ部分でもあるので、そう言って頂けて凄く嬉しいです…！！身体の事までお気遣い感謝します！霧雨さんもどうぞお気を付けて。今後の更新も努めてまいりますので最後まで何卒よろしくお願いします！ (2022年8月18日 8時) (
レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
霧雨 - めちゃくちゃこの作品好きです‼‼‼夢主ちゃんの話し方やキャラとの接し方がもう可愛すぎて42ました_:(´ཀ`」 ∠):今後の話も楽しみに待っています！！御身体には気をつけて下さい。最後にこれからも応援しています！！！ (2022年8月18日 0時) (レス) @page29 id: d97116c4b2 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - 凛華さん» 閲覧、コメントありがとうございます！とても励みになります。これからも更新していくので何卒宜しくお願いします…！ (2022年7月28日 13時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - こういうキャラは好み…!! (2022年7月28日 10時) (レス) @page4 id: 77dfc54020 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - 秋冬さん» コメント、閲覧有難う御座います！励みになります、更新頑張れます！！何卒よろしくお願いします！！(大声) (2022年1月25日 16時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2021年6月27日 1時
