17 ページ18
『わ、私その子たち、どこ行ったか知らない。』
少女は戸惑いを見せ、一歩後ずさった。
ホークスはそれに反し、一歩少女に詰め寄った。
「君の個性はその人形にあるからね、その言葉がどう言った意味なのか正直腹を切って開けるまでは分からないんだよ。」
『腹を切って、開ける…？』
「あぁ、実際にやったりはしないよ。そういうの好きじゃないしね、俺は。」
ホークスは歩みを止めず、日陰に踏み込んだ。
少女の顔に、恐怖の色が現れた。
捕まる事への恐怖じゃない。
ホークスとの間に大きな壁が出来たような。
近付くことが許されなくなった事を意味する彼のその眼が、事実が恐怖となって襲って来る。
「君の個性が起こす行為に自覚症状があるのかもこっちには分かんないし、というか君に関して分からない事だらけで捜査は難航してる。」
「だから、疑うんだ。ヒーローとして無作為に人を攻撃してしまうような個性を持っている君を野晒にしておく訳にはいかない。」
「本当に知らないの？」
静まり返った線路下。
少女は声が出せずに首を振りながら、後方へと足を進める。
『ちが、本当に知らないの─、ぅわっ…！？』
後ろにあった崩れた煉瓦壁の一片が転がっていた事に気が付かず、突っかかり尻もちを着く。
手を着いた地面にはガラス破片やらが散らばっていて、着いた手にそれらが食い込んだ。
自然と逃げるように、立ち上がって彼と距離を保つ。
表情一つ変えず、ホークスは少女を見据えた。
何時も不安を感じると、物を抱きしめる癖があり
今も怖さを軽減する為に、抱きしめるような仕草をしたが、抱きしめる物が無いことに気付いた。
マリーが居ないことに。
焦って探すと、ホークスの近くに、先程まで立っていた自分の位置にマリーが置かれていた。
頭が真っ白になっていたせいか、連れてくる事を忘れていた。
手段は話す事しかなくなった。
『…ホークスさ…、ん。信じて、くれないの？』
少女の苦しそうな顔に、ホークスの表情が変わった。
掴みたいものを掴めないでいる、迷いがある顔だ。
けれどその表情は一瞬にして消えて、厳しい顔に戻った。
「少なくとも、君を完璧に信じられる証拠が少なすぎるんだ。」
「これ以上、長引かせる訳にもいかない。強引にでも、君を捕らえさせてもらうよ。」
ホークスの影が消え、少女に影が落とされる。
刹那──
蒼い炎がホークスと少女の間を遮った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒凛蝶(プロフ) - 霧雨さん» 閲覧、コメント有難うございます！悩みに悩んだ部分でもあるので、そう言って頂けて凄く嬉しいです…！！身体の事までお気遣い感謝します！霧雨さんもどうぞお気を付けて。今後の更新も努めてまいりますので最後まで何卒よろしくお願いします！ (2022年8月18日 8時) (
レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
霧雨 - めちゃくちゃこの作品好きです‼‼‼夢主ちゃんの話し方やキャラとの接し方がもう可愛すぎて42ました_:(´ཀ`」 ∠):今後の話も楽しみに待っています！！御身体には気をつけて下さい。最後にこれからも応援しています！！！ (2022年8月18日 0時) (レス) @page29 id: d97116c4b2 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - 凛華さん» 閲覧、コメントありがとうございます！とても励みになります。これからも更新していくので何卒宜しくお願いします…！ (2022年7月28日 13時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
凛華(プロフ) - こういうキャラは好み…!! (2022年7月28日 10時) (レス) @page4 id: 77dfc54020 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - 秋冬さん» コメント、閲覧有難う御座います！励みになります、更新頑張れます！！何卒よろしくお願いします！！(大声) (2022年1月25日 16時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2021年6月27日 1時
