指名手配犯と捨て子は手を取る。

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初めは、軽い気持ちだった

彼女自身が女子高生だった事から、ただ協力してくれればいいと思っていた

その中に、少しの好奇心と興味を抱いて初めた共犯生活だった

傑が亡くなった後の僕は、死んだ目をしていた

僕の家は、まぁ世間で言う金持ちで

生活にも仕事にも困らない程の金はあった

莫大な額を幼少期から託されて、金銭感覚は常軌を逸していた

家族には無駄な期待と、後継者の話ばかりされて、飽き飽きだった

頭のいい学校に入れられそうになった
別に僕にとってどこに行って、何しようかなんてどうでもよくて
進路も将来のプランも何も立てたり、考えたりする気にもならなかったから

高学歴とか資格とかもさっぱりで
どこに言ったって良いなんて気持ちはあったけど、親に指定された場所にまんまと
はい、行きます。と言って言いなりになるのは
腹が立って、癪だったから


頭のいい学校に受験するテイに置き換えて、近くの普通の高校に進学した

親は初めて僕の高校を知った時、あんぐりと口を開けたまま、怒りの言葉さえも出なかった様子で

それが僕にとっては面白くて


そしたら傑に会った


妙に優しいアイツといると不思議な気持ちになった

そんな感情が、新鮮で
一緒に居ることに楽しさを覚えた

親は正しい人間関係を築きなさいだとか
人は選びなさいと言うけれど

正しい人間関係ってなんだと思った

面倒くさく考えて放棄する問題も、傑が矛盾や疑問を、ふと口に出すから
物事を根っこまで考えるようになった


僕の人生の半分を変えてくれた傑が居なくなって

虚無感に苛まれていた


色んな感情が入り交じって、自分の答えに納得いかなくて、変な事まで考えた

犯人扱いまでされて、警察は僕を調べもしない癖に指名手配にまで繋げて

出来れば、俺じゃないと
ドラマみたいに無罪を主張したかった


でも、その時の僕に
何が正常な判断を下して、行動を起こすという行為は難しかったんだと思う

そこで、一種の奇行でも起こしてやれと半ばヤケクソ状態で、外をほっつき歩いてたら


彼女に出会った


普通の人とさしてなんも変わりない

現代を生きる普通の女子高生の筈なのに

どこか違う

その答えを求めようと言う訳では無いけれど
自発的に問題を作るようになった

あの子といたら、また変われる気がした

無茶苦茶な今までの事も、傑といた時みたいに救われる気がした



対等に接してくれて嬉しかった


僕の為にあんなに一途になってくれる子を


守りたいと思った

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