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五条さんと暮らし始めて数日が経過した
食料等は、私が買い出しに向かう
未だに、五条さんのやらなければならない事という物が分からず、指示されたことに対してその通りに動く事が続く
会って初めの方に、やりたいことは何かと聞いたが話を逸らされてしまった
触れたくない、というよりかはまだ話す必要は無いという事に近い反応
「さて今日は、どこに移動しようかな?」
捨てられていた雑誌の束の中から、ガイドブックのようなものを取り出して、
まるで旅行先を決めるかのように、ペラペラとページをめくっていく
「愛知とかどう?」
生まれてこの方、施設や家といった囲いの中でしか生活を送ったことの無い私にとっては
初めての遠足の様な物で、少しだけワクワクしている自分がいた
「愛知…!」
「お、興味ある?僕も一回、いや二回だったかな?友人と行ったことがあってね?サークルだったっけ…いやぁ懐かしいなぁ」
思い出に耽けるように空を見上げて話す五条さん
指名手配犯とは思えない素振りで、散歩中の様だ
「警察、怖くないんですか?」
「え?警察?─…そりゃあ、怖い事には怖いよ?多分ね」
「多分?」
「よく分かんないんだよね、自分の事とか、警察とかも微妙かな」
「事件起こして、ドタバタ追いかけ回されて、チャップリンの映画みたいに喜劇を演じてさ」
「万引きも、殺人も、やっちゃいけない事なんでしょ?それくらい皆常識なんでしょ?それを取り締まるのが警察の役目で責務なんでしょ?人を改心させて罪を償わせることがさ」
「でもさ、そんな警察だって人を傷付けるでしょ」
「全員人間なんだよ、根本的な所は。そこは変わらないし、変えることも出来ない」
「人は人を傷つけるし、誰か一人が正義を名乗ったって、じゃあその人が生涯人を傷付けないなんて保証あるのかな」
「結論としては…?」
「結論はね、僕も警察も変わんないんだよ」
「だから、怖いかどうか分かんない。だって自分みたいなものだから。まだ僕は自分を怖いとも感じてないし」
正直言ってる意味があまり分からなかった
私の知識不足か、理解力が足りないだけなのか
はたまた話が纏まっていないせいか
ただ、多分五条さんは
他者を自分と捉えている
同情を強制する物とは違う、何か
この人は、哲学者か何かなのだろうか
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黒凛蝶(プロフ) - 玲奈さん» 閲覧、コメント有難う御座います!とても素敵なお言葉を本当に本当に有難う御座います…思わず泣きそうになってしまいました。背中を更に強く押されたような気がします。どうかこれからも何卒宜しくお願い致します! (2022年8月8日 23時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
玲奈(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵なお話を書いて下さりありがとうございます!途中からほんとにドラマを見ている気がして…とゆうかこれはもうドラマ化すべきなのでは!?となりました 黒凛蝶様の書く小説は好きな作品が多くて嬉しいです!これからも応援してます! (2022年8月8日 4時) (レス) @page50 id: d602917972 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - うぇいさん» コメント、閲覧ありがとうございます!そう仰っていただき作者の目頭が熱くなりました…。読んで頂き本当本当に感謝です! (2022年1月6日 21時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
うぇい - とても素敵な作品。終盤の展開に目頭が熱くなった (2022年1月6日 19時) (レス) id: daba836190 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - おまるさん» コメント、閲覧ありがとうございます!おまるさんの楽しみとなれる作品を作れて作者は本望です…!今作は完結してしまいましたが、またの機会がございましたら何卒作者をよろしくお願い致します (2021年6月27日 1時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒凛蝶 | 作成日時:2021年4月16日 20時