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「だから、早く傑の言葉を理解しないと」
そう五条さんは意気込んで、宿泊施設で寝るまでの間、紙に書いてみたり、口に出したり、英語に訳したりと様々な手法を試して考えていた
誰かに言うような会話文だからこそ、分からない
シンプルに考えるのも、難しく考えるのも
どちらの策を取った方が正しいのか分からないから空回りする
結果的に灯台もと暗し、という形で
答えはすぐ近くにあったみたいな事はよくある
早く、傑さんの言葉が解けて、五条さんの何かになればいいけど…
でも、もう他人事ではいられない
私は五条さんを、出来る限り支えたい
────────────
朝を迎えた
五条さんの友人のお話から一日経った今、すでに私達は外に出ている
しかしまだ明け方近く
薄紫色の空にぼんやりと街灯の光のように淡く輝く太陽が水平線に浮かんでいる
五条さんと港付近を歩いている内に、空も明るみを取り戻し
空は群青色になった
「潮風が心地良いね。朝の散歩は嫌いじゃないよ」
散歩…というより逃亡…
「誰も居ない時間帯にふらっと出掛けてさ、何も気にしないで歩くだけ」
「夜の散歩も好きだけど、朝は朝なりのいい物があるんだよ、分かるかなぁ？」
「私も、朝は好きです。夜明けとか朝焼けの」
「そうそう、朝っていう朝はそんなでも無いんだけどね。学生時代なんかは朝なんてクソ喰らえだったからさ、大人になってちょっと分かったよ。朝の良さってのがさ」
「…五条さん」
「どうしたの？」
私はずっと視線を下ろし、かれこれ数分気になっている"それ"を見詰めた
「なんで、手を繋いでいるんですか…？」
「君が迷子にならないため」
「私、迷子にはなりません」
「なるよ、ふらっとどっか行っちゃいそうでさ」
その瞳はどこか遠い方を向いていて、きっと傑さんの事を思っているんじゃないかと感じた
私と重ね合わせているのかどうかまでは定かじゃないけど…
「嫌だった？」
「いえ、五条さんが繋いでいたいなら」
「ちょっと〜？それじゃあ僕がまるで甘えてるみたいじゃん」
「甘えてるんですか…？」
「甘えてはないけど」
「そうですか…」
「なんでちょっと残念そうなの」
「残念そうでしたか」
「うん、残念そうだった」
なんだろう、なんかこのやり取りが不思議だ
面白いという訳でもない、ただ何となく
漠然とした、"幸せ"という名の不確かな感情が心にふっと降りてきた気がした
「ふふっ、」
自然と笑いがこぼれた
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黒凛蝶(プロフ) - 玲奈さん» 閲覧、コメント有難う御座います！とても素敵なお言葉を本当に本当に有難う御座います…思わず泣きそうになってしまいました。背中を更に強く押されたような気がします。どうかこれからも何卒宜しくお願い致します！ (2022年8月8日 23時) (
レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
玲奈(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵なお話を書いて下さりありがとうございます!途中からほんとにドラマを見ている気がして…とゆうかこれはもうドラマ化すべきなのでは!?となりました 黒凛蝶様の書く小説は好きな作品が多くて嬉しいです!これからも応援してます! (2022年8月8日 4時) (レス) @page50 id: d602917972 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - うぇいさん» コメント、閲覧ありがとうございます！そう仰っていただき作者の目頭が熱くなりました…。読んで頂き本当本当に感謝です！ (2022年1月6日 21時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
うぇい - とても素敵な作品。終盤の展開に目頭が熱くなった (2022年1月6日 19時) (レス) id: daba836190 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - おまるさん» コメント、閲覧ありがとうございます！おまるさんの楽しみとなれる作品を作れて作者は本望です…！今作は完結してしまいましたが、またの機会がございましたら何卒作者をよろしくお願い致します (2021年6月27日 1時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2021年4月16日 20時
