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「親戚の友人の人の言葉です。唯一家族みたいな方だったので覚えてます」
「でも、つい最近亡くなったみたいで…理由は分かんないんですけど…病気…か事故…」
「へー…」
私の親戚のその人は
優しい人だった
第一印象は狐の様な人だと、警戒していた
ずっとにこにこと笑っている人で、口調も穏やか、物腰も低くて、何を考えているのか分からなかったから
私の身の回りにいた大人は、怒る時は大きい声を出せば子供が黙って従うものだと思って、何を言ってるのか分からないくらい大きな声で話していた
だから、その人がやけに静かに見えた
けれど、その人は私の思っている大人の図とは違って、何時も子供目線で接してくれた
大人と子供の見解を両方とも理解して、場に応じて対応することのできるその人は、とても尊敬出来る人だった
───回想────────────────
お父さんもお母さんもずっと大きな声で話している
きっと私のこと、ずっと私のこと
良い意味なんかじゃない
当時の私と同い歳位の子達が嫌いな物を他人に押し付けるみたいな会話
「私これやだ」「僕もこれやだ」と言う様な会話の無限ループ
「そもそも、子供を作る気なんてなかったのに…責任取ってよ」
「俺が悪いのかよ!お前の事前確認が疎かだったからこんな厄介なことになってんだろ!」
「親権の問題をさっさと決めてちょうだいね」
「私はお断りするわ、望んで生まれた子なんかじゃないもの」
「同感だな」
「でもどちらかに渡らないと解決しないみたいなのよ…はぁ…めんどくさい事になっちゃって」
「そんなのどうでもいいわ、問題が解決しなくたって捨てたもんは捨てたし」
ベランダで一日をずっと過ごす
誰よりも早く起きて、暇を潰せるものを腕に抱えて
私の定位置はベランダで、季節も問わない
寒くても暑くても、関係はない
まだ、親権問題で揉めている中、母の親戚の友人の方が来てくれる時がある
初めて会ったのは論争前の話で、ベランダで一人折り紙を折っているところ話しかけてくれた
月に何度か来てくれて、唯一嬉しいと感じられる一時だった
その人がこの家にいる時は、大きな声もないから気が楽になった
「君は、器用だね」
「そんなことないです、端っこと端っこがいつもズレちゃいます」
「折り紙は完璧なのも美しいけど、ちょっとズレたりしているのも又魅力なんじゃないかな」
「私はそう思うよ」
「すぐるさんも、折る?」
「そうしよう」
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黒凛蝶(プロフ) - 玲奈さん» 閲覧、コメント有難う御座います!とても素敵なお言葉を本当に本当に有難う御座います…思わず泣きそうになってしまいました。背中を更に強く押されたような気がします。どうかこれからも何卒宜しくお願い致します! (2022年8月8日 23時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
玲奈(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵なお話を書いて下さりありがとうございます!途中からほんとにドラマを見ている気がして…とゆうかこれはもうドラマ化すべきなのでは!?となりました 黒凛蝶様の書く小説は好きな作品が多くて嬉しいです!これからも応援してます! (2022年8月8日 4時) (レス) @page50 id: d602917972 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - うぇいさん» コメント、閲覧ありがとうございます!そう仰っていただき作者の目頭が熱くなりました…。読んで頂き本当本当に感謝です! (2022年1月6日 21時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
うぇい - とても素敵な作品。終盤の展開に目頭が熱くなった (2022年1月6日 19時) (レス) id: daba836190 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - おまるさん» コメント、閲覧ありがとうございます!おまるさんの楽しみとなれる作品を作れて作者は本望です…!今作は完結してしまいましたが、またの機会がございましたら何卒作者をよろしくお願い致します (2021年6月27日 1時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒凛蝶 | 作成日時:2021年4月16日 20時