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この人、何時笑い止むんだろうか
かれこれ数分間、ずっと腹を抱えて笑っている
そんなに面白い事を言った覚えもないのに何故か笑っている
「君、今どんな状況に置かれてるか、分かってる？」
指名手配犯の方は笑い混じりに私に問いかけた
状況は見ての通りだ。至ってシンプルであり、難しい事など一切無い
"指名手配犯が目の前にいる"
これ以外に説明はいらない
「指名手配犯の方が目の前にいます」
「うん、何か変に思わない？」
「思いません」
「マジ？」
「はい」
事実に対して淡々と返事を返す私に対して、男性の口元はまだ笑いが取れていないように見える
「指名手配犯が目の前に居るんだよ？」
「居ますね」
「殺されるかもしれないよ？」
「そうかもです」
「そこ問題じゃないの？死んじゃうんだよ？」
「問題は無いです。…特に深くは考えません」
私に命令をしてくれる人も、先導者も居なければ
与えてくれる様な場所も、人脈も私には無い
そして私自身それに期待もしていない
「何、君家出中かなにか？親と喧嘩でもしたの？」
「親は居ません。家も無いです」
「そう。じゃあさ、僕が君をナイフで刺したら、君はどうする？」
しゃがみこみ、落ちていた木の棒を拾い
地面に棒人間を二体、サングラスを掛けた一人にナイフを持たせ、もう一人に刺すという図を描く
男の人は口角を上げ、見上げながら私に問う
しかし、サングラスで瞳の奥は見えない
単純な話で、刺されたら刺されたで終わりだと思う
仮に通報したとして、身柄を確保されても
やれ施設、やれ病院と盥回しにされる運命は目に見えている
でも、人に刺されるのは私にとっては何だか少し、嬉しい様な気がする
見向きもされなかった私を
選んでなくとも、衝動的にでも、無差別でも、見付けてくれたのかなと思うと少しだけ嬉しくなる
自意識過剰で変人な考えかもしれないが
こんな変な返しをしたら、またこの人は笑い始めてしまうだろうか
そうしたら日が暮れる
それに
答えた事で刺されても、私がこの人を憎むことは無いし恨む事も、ましてや"呪う"事もないだろう
「"ありがとうございます"」
正直に感謝の気持ちを述べる
軽く会釈をする様に頭を下げてイメージを伝える
正解も不正解もきっとない
「くくくっ、君、ほんと、っ、逸材か何か？前世お笑い芸人とか？」
今度はしゃがみこんだまま地面を叩きながら笑い始めた
あ、また変なスイッチ入った
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黒凛蝶(プロフ) - 玲奈さん» 閲覧、コメント有難う御座います！とても素敵なお言葉を本当に本当に有難う御座います…思わず泣きそうになってしまいました。背中を更に強く押されたような気がします。どうかこれからも何卒宜しくお願い致します！ (2022年8月8日 23時) (
レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
玲奈(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵なお話を書いて下さりありがとうございます!途中からほんとにドラマを見ている気がして…とゆうかこれはもうドラマ化すべきなのでは!?となりました 黒凛蝶様の書く小説は好きな作品が多くて嬉しいです!これからも応援してます! (2022年8月8日 4時) (レス) @page50 id: d602917972 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - うぇいさん» コメント、閲覧ありがとうございます！そう仰っていただき作者の目頭が熱くなりました…。読んで頂き本当本当に感謝です！ (2022年1月6日 21時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
うぇい - とても素敵な作品。終盤の展開に目頭が熱くなった (2022年1月6日 19時) (レス) id: daba836190 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - おまるさん» コメント、閲覧ありがとうございます！おまるさんの楽しみとなれる作品を作れて作者は本望です…！今作は完結してしまいましたが、またの機会がございましたら何卒作者をよろしくお願い致します (2021年6月27日 1時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2021年4月16日 20時
