15 ページ15
Aside
これでもかという程、全力で足を動かして身体を虎杖君と腕との空間に捩じ込んだ
領域展開、一秒転換。的な感じで
戦場で一秒は心臓の鼓動と比例する
いつ止まっても、後悔がないように動くのだ
そしてその一秒に沢山の時間と作戦と労力と人の心を懸けて戦地へ向かう
一秒は簡単に過ぎてしまうけど、誰かが死ぬ未来、自分が死ぬ未来を見た時にだけ
一瞬、その一秒がやけに遅く感じる
その後は語るまでもない
気付けば周りが血だらけでなんて事もある
私は戦地を掻い潜ってきた猛者じゃない
高専に来て、初めて命を懸けて戦っている
転んで怪我をする、それを絆創膏を貼って治す
転倒して泣いていたあの頃を思い出して今と重ねればその違いは一目瞭然
絆創膏だけじゃすまない怪我が瞬間瞬間に迫っている
骨折、捻挫、刺傷etc、それらが当たり前の戦闘
正直、泣きたいくらい痛い
今もだ
でもそういえば、私がどれだけ悪戯をして、怪我をしても
誰も怒ってくれなかったっけ
虎「伊澄っ！伊澄！！！」
『……焦った顔してんね、いた、どりくん』
ギリギリ間に合ったみたいで何よりだ
この呪霊の性格が悪くて良かった
頭を貫通しようとしてきた腕が突然、方向を変えたもんだから、私の腹に命中したらしい
とはいえ、臓器が詰まっている中央部をやられた訳ではなく脇腹に近い部分を突き抜けたっぽい
おかげで死にはしなかったものの、重症だし、このままの状態が長引けば致命傷だ
虎「当たり前だろ！」
『うわすっご、血エグいて』
虎「伊澄動くなって、血が…っ！！」
『平気平気、こんくらい、どうってことないっしょ』
心配する虎杖君を宥めるようにして、腹を抑え起き上がる
黒い制服も赤黒く染まり、手がぬるりとした感触に包まれて嫌な感じだ
虎「いやかなりヤバいと思うけど！？」
『呪術師に必要な物は何か、覚えてる？』
虎「へ？」
『五条先生に言われたこと、問題の復習だよ』
虎「えっと…ほら、あれ、だろ？その…すげーやつ」
『さては覚えてないな？…答えは発想の転換』
虎「発想の転換…」
『私の術式は、赤血操術…まぁ覚えたてみたいな所だけど、今出来んのはその位』
虎「そうなの？！」
『言ってなかったからね』
虎「教えてよ！！」
『怒った？』
虎「いや怒ってはねーけど」
『そして今から私は自爆行為に出る』
虎「はっ？！？！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒凛蝶(プロフ) - 海 於さん» コメント、閲覧ありがとうございます！！そう仰って頂き作者感激の嵐です…本当に本当にありがとうございます！ (2022年1月9日 23時) (
レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
海 於(プロフ) - もうとても最高でした … 🥲💞 (2022年1月9日 23時) (レス) @page50 id: 1c379a9e78 (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - さきさん» コメント、閲覧有難うございます！更新の励みになります…好きと言って頂けてとても嬉しいです！最後まで何卒よろしくお願いいたします (2021年8月25日 21時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
さき - 虎杖くんがイケメンすぎて、眩しいです（笑）この小説かなり好きです！！ (2021年8月25日 6時) (レス) id: 4ac7fe361f (このIDを非表示/違反報告)
黒凛蝶(プロフ) - 睡眠時間さん» いえいえ！こちらこそ、時間を割いてコメントをして頂き本当にありがとうございます…自分は伏黒君が最推しです。虎杖君バシバシ恋愛要素に向けていきたいと思うので宜しくお願いします…！ (2021年8月3日 20時) (レス) id: e6bcf3a4ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒凛蝶 | 作成日時：2021年7月22日 0時
