お人好しへ土下座をかました

12 ページ12

Aside

『虎杖君、私達の任務って明日だよね』

虎「うん」

『しくじったらごめんね、そして怒ってね』

虎「誰だって失敗はあるっしょ。だからそん時はドンマイ！」

『怒ってくれ…』

虎杖君はポジティブモンスターだ
切り替えが早いし、妙に返答速度が速い時もある
真希先輩に「五条先生好き？」と聞いた時に
「クソ嫌い」と一秒も掛からず即答されたあの時のように

虎杖君にとって嫌いな存在ってなんだろうな


『ねぇねぇ虎杖君』

虎「どったの、また質問？」

『うん。虎杖君の嫌いな物って何？』

虎「嫌いな物？食べ物とかは特にねぇし…なんだろ…友達大事にしねぇ奴とか…いじめとかは嫌いかな」

典型的なお人好しさ
人権の代表みたいなとこある

虎「物っていうかそういう人とか、なんか幅広くなっちゃうんだよな」

『ほー』

虎「伊澄は？」

『私？私は…』


私の嫌いな物

なんだろう…食べ物の好き嫌いはまぁ多少あれど
さして日常生活に支障を及ぼすほどの嫌悪ではないし

怒ってくれない人、なんて言ったら
誘導になっちゃうかな

まぁ何時も誘導じみたことしてるけどね！
怒ってくださいって直談判してるからね！
もうかえって清々しいぜこの野郎


『……怒ってくれない人』

虎「えぇ！？」

『虎杖君、怒ってくれないと嫌いになっちゃうぞ〜？』

虎「それはヤダ、伊澄に嫌われたくない」

『じゃ、怒ってくれる…？』

もう怒ってもらうためならなんでもやってやんよ
色仕掛けから何まで犯罪以外で出来る範囲の事は片っ端から攻める

虎「怒れる要素どこ！？」

『だって今私は、虎杖君に誘導尋問をしているような物だよ』

虎「誘導、じんもん…」

『……意味分かってる？』

虎「チョット…」

『つまり、虎杖君に怒ってもらうために、計画的に促してるってこと』

虎「そなの？」

『毎日そう』

虎「ほー」


『今なら怒れる！君なら出来る、いける！』

虎「松岡○造さんかよ！」


虎「嫌いにはならんで欲しいけど…でもやっぱ今は怒れんよ…」

『そっか……心の雨ドシャァア、雲モクモクモク』

虎「心の天気を言葉で表さないで！」


虎「俺、前からずっと思ってたんだけど、一つ質問していい？」


『うん』


虎「なんで怒られたいの？」


『それは何時も怒らなそうな人が怒ったらどんな反応し─

虎「そうじゃなくて。伊澄の本当の理由を知りたい」


『えっ─』



私の、本当の怒られたい理由……？



なんで、虎杖君がそれを

13→←11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す