漆 ページ8
Aside
《伏黒はその後、部屋から顔を出し、遺体の親族に出向くとの事らしい。》
《当然、白蓮もそれに付き添い親族の自宅の前で伏黒を待っていた。》
黒…
《失礼しました、という言葉と共に扉の音が聞こえた。》
『黒』
《俯いて出てきた伏黒が心配になり、駆け寄って声を掛ける白蓮》
恵「親御さんに伝えてきた。本人で間違いないようだ。」
《淡々と口にする伏黒の表情は重かった。》
《白蓮は伏黒の手を両手で掴み優しくぽん、と撫でた》
恵「A…?」
『大丈夫』
《伏黒には何故白蓮がその行動をとったのか理解は出来なかったが、きっと白蓮なりの励ましで、少し楽になったような気がしていた。》
恵「…悪い…迷惑掛けた」
『黒には、笑っててほしい』
《白蓮は幼少から極めて無口で、自分の思ったことを発言することはなかった。しかし伏黒や五条には偶にこうして話すことがある。》
『無理なときは、いい。』
『黒、これからどうしたい…?』
恵「俺は…」
《白蓮の問い掛けに少しの間伏黒は考えた。
そしてぽつりと、決心したようにこう言った。》
恵「…俺は、出来るだけ人を救いたいと思う。」
恵「呪術師は死に方を選べない。でも、一応は人を救える。それなら周りの人間の死に方は自分よりも良い方向であって欲しい。」
恵「虎杖も、そう言っていた。」
《伏黒の脳裏には虎杖が始めに言っていた言葉が強く刻まれていた。》
『虎杖君、いい子』
恵「お人好し過ぎたけどな。」
『黒も楽しそうだった』
恵「…幾分かな。」
《伏黒のその言葉を聞いた白蓮の口元は優しく微笑んでいるようだった。》
《そして月日の流れは早く、なだらかに過ぎていく。─》
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作者名:黒凛蝶 | 作成日時:2020年11月22日 0時