拾 ページ11
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どんな平和な世界だって、崩れることは免れられない。
崩壊への道は案外、近くにあるもの。
ゆっくりと、波のように、
そうよ、永遠に優しい世界なんてありはしないのよ。
仏とか幸福の神とか、そんな妄想の中の根拠もないものに祈りをかけたって叶うわけないじゃない。
呪いは人から産まれるの。神だって人から産まれるけど、
人生苦しみが八割はあるでしょう?
だから、産まれようとする幸福の神は呪いの神には劣るのよ。
憎しみ、妬み、嫉み、憎悪、嫌悪、憤怒─。
何時だって窮地に立たされれば人は誰かの不幸を願うのよ。自分の利益を得て幸せになるために。誰かを蹴落とさなければならないの。
私が幸せになるためには、誰かが不幸にならないと。
私は一人ぼっちだったもの。
痛かったわ、苦しかったわ、辛かったわ。
何より
奴らを殺してしまいたいわ。
私が死ななければならなかった理由は?
私が何故あんな目に遭わなければならなかったの?
私の身体はもうどこにも無いの。
何処にも帰れない。
だから、新しく身体を作ろうと思ったの。
私はもうこの魂だけになって何百年以上経つけど、ピンとくる身体が無くて困っていたのだけれど……
また"あの地"に帰って初めて見つけたの
私の身体となる物を
私のあの子を取らないで。
後少し、後少しで
準備は調うのよ。
私はもう人から生まれた神になったの。
人間の味方、幸福なんてあるか分からないものよりも素晴らしいもの。
人の悪心、怨みから生まれた
それが私を創ってる
私の名はこう呼ばれているらしいわ
"悪縷"と
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作者名:黒凛蝶 | 作成日時:2020年11月22日 0時