統括の同期は人間らしい【魔入間】

一話 ページ1

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俺の名前はリン・A。魔力を持った人間だ。

何故人間の俺が魔界にいるのか。

正直俺もよく分からない。

幼少期、悪魔や魔術に興味があった俺はそういう類の本ばかり読んでいた。

それがきっかけだったのか知らないが、ある日目が覚めたら魔界にいた。

途方に暮れていた俺を優しい夫婦が俺を拾ってくれた。

しかも何故か言葉が通じた。

そんな都合のいいことがあっていいのだろうか。


「君、名前はなんと言うんだい？」

「僕は……？」


名前を聞かれた俺は、何故か自分の名前をいうことが出来なかった。


「……分からない」

「そう……。ねぇ、もし貴方が良ければ、私達が名付け親になりましょうか？」


俺は考えるのをやめた。考えたら負けな気がしたからだ。

そうして俺は、夫婦の姓「リン」と「A｣という名を貰った。

そして俺はリン・Aとして魔界で生きた。


「あの……貴方たち悪魔なんですよね？」

「？そうだが……なぜそんな当たり前のことを聞くんだ？」

「僕、悪魔じゃなくて人間なんです」


人間だと伝えたら、何故かこっぴどく怒られた。

食べられたらどうする気だったんだと。

幸い夫婦は人間=食べ物という認識をしていなかったため大丈夫だったが、ほかの悪魔は人間=食べ物という認識があるらしい。


「いい？Aくん。ほかの悪魔にこのことは絶対に言わないこと。わかった？」

「分かりました……」


後々この約束を破ったのは言うまでもないだろう。

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