【d!】紺碧の空を眺めて【軍パロ】 (ページ1)

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薄暗く淀んだ空、光のない街

どこか遠くの方で響いている爆発音

聞こえてくる人々の悲鳴、逃げ惑う群衆

私の家族は当の昔にどこかへ行ってしまった

私はこの広い街で、ただ終わりを望んでいた

今この国は他国と戦争をしている

少し前までは平和な日々を送っていたはずなのに

私は貧乏でも裕福でもない家庭に生まれた

それなりに不自由のない暮らしの中で両親は離婚

母親と共に家を出た

それから少しすると母は別の男と再婚し子供を作った

それからの私はすっかり蚊帳の外

必要とされていないのはこの状況が物語っている

戦争が始まった日、私は家族と共に家にいた

しかし母親と男は幼い子どもを連れて逃げていった

私を置いて

別に家族は好きではなかったし自由になれたから辛くはない

むしろ今が幸せだった

人々をぼんやり見つめながら道路の隅に座って、逃げずに時間の流れを待っていた

別にいつ巻き込まれて命を落としたって良い

そう思っていた

「逃げろ！！あっちにテントがある！！」

青い軍服を着て銃を持った男が人々とは逆方向に走る

男はその途中で私を見つけるとすぐに私に近づいてきた

「ちょ、こんなとこで何してんねん！はよ逃げんとやられるぞ！」

私の腕を無理やり掴んで人々と共に走り出す

しばらくすると避難用のテントにたどり着いた

「ここに居れば今は安全や。しかしなんであんなとこに一人でおってん、家族は？」

何で見知らぬ軍隊に話さなければいけないんだ

でも、いつ無くなるかわからない命だ

存在を少しでも主張すれば埋葬くらいしてくれるかもしれない

「家族なんていないよ。とっくの昔に行く宛なんてなくなった」

ハハハと笑って言ってやれば男は言葉を失った

「こっち来い」

そして再び私の手を引いて歩き始めた

どこに連れて行かれるんだろう

抵抗をすることもせずに連れて行かれると建物の並びにある小さな建物の前に

「わかってると思うけど、僕は軍人や。そいでここは僕らの基地。仲間もおるから行く宛無いんやったらここに居ればいい」

どうしてこんなことを？

黙っていると男は言葉を続けた

「あんな危険なとこに女の子一人置いとけへんやろ。大事な命やねんから大切にしいや。ほら、」

どうせ行く宛がないならどこでも同じか。

私は開けられたドアをくぐって建物の中へ入った