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十七話 ページ18

廊下を走っていく足音がどんどん小さくなっていく。


Aが去って行った教室では、これまで真剣に映像を見ていた男達の集中力が底を尽きたかのようにソワソワしていた。

「…何故Aちゃんはあの場へ?」
「黒田は野次馬や言うとったけどそんな事ありえるか?」
「怖がりの癖に変な所で度胸のある奴だでな」

前田の言葉に数名が黙って頷き、肯定する

「え、じゃあほんまに野次馬?」
「確かにさっきまで観戦に飽きてはいたけど…」

明智の言う通り、この戦を近くまで見にいく度胸はあるだろうが飽きたからと言ってAがそこまでするだろうか。

「まあ仮に武田の手助けしようなんて思っても手さえ出せないだろうけどな」
「軽ーく押し出されて終わりだな」

ケラケラと笑う井伊達だったが内心は少しヒヤヒヤしており、それを誤魔化すように冗談を溢すが周りの真剣な顔に押し黙ってしまう。

どこかモヤモヤとする気持ちのまま未だ代わり映えしないスクリーンに目を戻した。


その時、スクリーンの左上からAがツカツカと登場した。いつもの笑顔ではなく少しムッとしている

「あぁー‼︎Aちゃん‼︎」
「うるせぇ‼︎座れ!」

思わず立ち上がった豊臣に井伊が大声を上げる
Aの足は壁に寄りかかっている3人の女の前でピタリと止まった。

小柄でみやびよりも少し背の低いAが体格、威圧感、共にボロ負けしているが怯む事なく女達に向かって喋り掛けている


「まるで虎と子猫だな」

「…おいアレ、誰か行った方がいいんじゃないか?」

黒田がいつもの調子で笑っているが、クラスの誰かが漏らした言葉に全員がスクリーンに目を向ける

最初は噛み付くように話していたAだったが3人に周りを囲まれ、肩を押され怒鳴られてしまい縮こまってしまった。
それを良い事に髪の毛を掴まれ、みやび同様戸棚に強く押し付けられる。
それを見た数名が椅子を倒す勢いで立ち上がったが、その直後に映し出された光景を見て体が固まった


自分よりも力も強く、体も大きな相手に音は聞こえないものの、それはそれは綺麗な平手打ちを女達に食らわしていた。


やり返されると思っていなかったのか画面の女達も、勿論クラスの男達も唖然とAを見つめていた。
シーンっと静まっていた教室だが、ふと漏れた誰かの笑い声で教室内は一気に盛り上がった


「はははっ!まさに飼い犬の反撃だな」
「いやぁ、実に気持ちのいい平手だったな」
「Aちゃん肝座りすぎやろ!」

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間取り(プロフ) - 名無しさん» お優しい御心遣いとても嬉しいです…。こえ様へ連絡させていただき、文章の訂正をして頂けましたので名無し様もご確認いただけたらなと思います。間取りは名無し様の為にこれからも更新を頑張りますのでまた何かあればご報告をお願いいたします☺️🙏 (2022年9月22日 23時) (レス) id: 35a743c5e2 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 書き上げる→書き上げられる、ですね。誤字、失礼いたしました。シリーズにつきましては是非ご自分のペースで作品の更新をして貰えれば嬉しいと考えています。これからも応援しています。いつも素敵な作品をありがとうございます。 (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 間取りさん» 勝手ながらご報告することにしました。確かに心配はしましたが、私としては間取りさんがのびのびと素敵な文章を書きあげるように過ごして下されば、それで満足ですので、どうかお気になさらないで下さい。 (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 間取りさん» ご確認して頂きありがとうございます。間取りさんの「どうしようもなく君が好き」シリーズは、しんしんの二次創作の中でとてもお気に入りで、いつも楽しませて貰っている分、間取りさんの知らない所でその素敵な文章が勝手に使われていることに悲しくなってしまったので (2022年9月19日 23時) (レス) id: 20a38a5636 (このIDを非表示/違反報告)
間取り(プロフ) - 名無しさん» ご報告ありがとうございます!今、該当作品を確認させていただいたんですが確かに私の作品と似ている所が多々見受けられたので一度作者さんとお話しさせていただこうかなと思います。せっかく楽しんで読んでいただいているのにご心配かけて大変申し訳ないです…😭 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 35a743c5e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:間取り | 作成日時:2022年8月7日 1時

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