REAR SEAT -PART 2-

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「慎太郎エビ好きだっけ？」

高橋さんが去ってから田中さんがモリに質問する
私も気になってた
モリ、肉派じゃなかったっけ？


「いや、俺じゃなくてAが好きだから」

突然自分の名前が出たからフリーズしてしまう
代わりに松村さんが場を繋げてくれた


「あ、そーだったんだ
他に好きなものは？
ここの人たち料理だけはめちゃくちゃ得意だからじゃんじゃか好きなの頼んじゃって」


「エビ食べ終わったらまた考えます」

なんとか口をついて出た言葉はやっぱり可愛げなくて心の中で落ち込む

でも、“モリが私の好きな食べ物を覚えててくれてた” その事実が嬉しい





「やっぱり “モリ” って呼ばれてたんだね」

急に田中さんが切り出す


「なんの話？」

モリもわからないみたいで聞き返す


「慎太郎、俺たちが “モリ” って呼ぶとキレるんですよ！
“モリって呼ばないで！” って」

なんで田中さんは私に向かって話してるんだろ？
あ、そういうことか


「ごめん
私すごい呼んじゃってた
今度から気をつけるね」

モリ呼びが嫌なんて知らなかった
田中さんに感謝しないと


「いや、いいの
Aはいいの
っていうかむしろ呼ばれたい
俺のことモリって呼んでいいのAだけだから
他の人に呼ばれるの嫌なだけでAになら常に呼ばれたいから」


「あれか！
専ニクってやつか」


「「「ふぅぅぅ」」」


やっぱ周りに囃し立てられるのは慣れてない
自然と下を向く

モリと繋いだ手に少し力を込める



自分では意識してなかったことがモリにとってはすごく大事で、


それがなんか嬉しかった


すごく嬉しかった

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