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とりあえず、バッグにしまう事にした。
ホッとした有岡は、シートベルトをしだしたから、私もつけた。
有岡「じゃあ、出るね」
A「うん、お願いします」
特に話す事もなく、家までの道のりが長く感じて。
頭の中では、引越の準備の事と、新しい部屋での家具の配置、住所変更のお知らせをどうしようか、役所にも行かないと、免許もか…
時々スマホにメモを残し、有岡が何を考えてるのか、考える余裕なんて全然なかった。
駐車場に着いた。
バッグミラーを見だしたらやろうと思ってて。
さっきのプレゼントを、ドアのポケットにそっと入れた。
あんまり見る場所じゃないけど、助手席に誰か座ったら気づくだろうし、私がやったってすぐ分かるだろうし。
エンジンを切ったから、シートベルトを外そうと金具を手探りで探してたら、
有岡「A……」
名前を呼ばれた。
A「ん？」
有岡「やっぱ、やり直せない？
ってか、やり直したい」
A「ごめん……」
有岡「じゃあ、最後に、今日うちに泊まってくれない？」
A「えっ、明日も早いし、無理」
有岡「遅番の日の前日だったらいい？」
A「そういう問題じゃない」
有岡「諦めらんねえんだわ」
A「私、もう全然なんとも思ってないし。
むしろ、これ以上なんかされたら、嫌いになる」
有岡「じゃあ、今は嫌いじゃないの？」
A「好きではない。
ずっと、なんか起きたらすぐ別れるって言ってたじゃん。
しつこい！」
有岡の事は無視して、車のドアを開け、走って自分の部屋に戻った。
諦めたのか、追いかけてもこないし、息をきらしながら部屋の鍵を開け、急いで鍵をしめた。
ダンボール箱が何個か積み上げられてる部屋に入って、これから先の事をあらためて思う。
有岡から逃げて、こっちに来たんだから。
また、引越してきた時と同じ気持ちになったらいいんだって。
キッチンで水道の水を一杯飲んだ。
泣かない。
私は一人でも大丈夫。
再び気持ちを入れ、ここでの生活、ラスト一週間を過ごした。
・
土曜日の朝。
ギリギリまで使ってたものを、箱に詰める。
お金を浮かせようと、自分の車でも運ぶものもあるから。
それを別にして、最後の掃除をしながら引越屋さんが来るのを待っていた。
予定通り荷物を運び出し。
あっという間に空っぽになった。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
