29 ピザ ページ29
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A「ごちそうさまでした」
有岡「うん、俺が誘ったし……」
照れた横顔が幼い。
有岡の一歩後ろを歩き駐車場に入ると、首を少し後ろに向けたなと思った瞬間、私の手を握ってきた。
ビックリして腕に力を入れたら
有岡「あぶねえから……」
真っ暗で、少し広めの駐車場を心配してらしい。
だから、そのまま握られたまま、握り返すわけでもなく、引っ張られるように車まで導かれた。
手を繋いでない方の手で、車のキーを開け、運転席側じゃない方に入り、助手席のドアを開けられた。
有岡「ん……」
あごで入れと合図をする。
もちろん有岡の顔をじーっと見て反発してたら、腕をぐっと引っ張り、強引に座らせられた。
ドアを優しく閉め、運転席に回って行った。
そしてすぐ運転席についた。
有岡「嫌かもしれないけど、俺にしたらAの場所だから」
やっぱあの子を座らせたんだ。
返事もしないで、渋い顔をしてたら、有岡の体がグインとこっちに伸び、ビックリして、出来るだけ体を反らしたら、助手席のシートの後ろに手を伸ばしている。
さっき座ってた目の前だ。
すぐに姿勢を戻し、私の目の前に何やら差し出した。
有岡「これ、もらって欲しくて」
どうみても、アクセサリーが入ってるような小さな白い箱に紺のリボンがかかっている。
A「え、何？
もう終わりにするのに、今更困る」
有岡「分かってる。
でも、去年のクリスマスに渡したかったやつ。
返されたの覚えてない？」
A「まあ……」
差し出されてる箱を、受け取るべきか、断るべきか。
でもやっぱりこう伝えた。
A「ごめん、他の人にあげられるようなものなら、そうして。
私はいらない。
もらっても困るし」
とても悲しそうな顔で下を向いてしまった。
有岡「Aの事思って買ったんだって。
すげー悩んだんだよ。
本当は誕生日にあげようと思ってた。
10月前にフラれるなんて思ってもみなかったし」
A「私だって……」
有岡「捨てちゃってもいいから、受け取って」
私に視線を合わせて、必死に頼んでくる。
受け取らないと帰れないんじゃないかと思ったのと、ある考えが浮かんだから、とりあえず受け取る事にした。
有岡「開け……ない？」
A「うん、今は……
ちなみに、何？」
有岡「えっ、ネックレス」
A「そっ……」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
