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A「その気持ちは嬉しいけど、もう二度と付き合うつもりはないから。
私とは合わないよ、有岡は」
有岡「んー」
渋い顔をして、返事に困ってる。
A「幼馴染じゃなかったら、好きになってないと思う。
苦手なタイプだから」
有岡「幼馴染だから？」
A「こういう人だって最初から知ってるから許せる事もあるし。
でも、何度も同じ事されたら、許せない。
もう、疲れたよ…」
有岡「疲れたって…」
下を向いた私の顔を覗き込んでいる。
フッと、冷たい手が私の左頬を覆った。
ビックリして視線を上げると、寂しそうだけど色っぽい、なんとも艶めかしい顔でこっちを見ている。
キスでもされそうな雰囲気がイヤで、その手を払った。
A「小学校の時も、中学の時も、高校も、今回だって、有岡の周りにいる女の子に意地悪されてきた。
全部ひっくるめて、疲れた……
もう、ダメなんだって。
今回は最後のチャンスだったのかもしれない。
だから、無理……」
有岡「それって、俺への気持ち、関係なくない？
俺の事は好きでいてくれてる？」
A「もう、よく分からないよ。
どこが好きか聞かれたら、答えられない。
幼馴染だから、ずっと知ってるから、好きな気になってるのかもしれない」
有岡「ホント、反省してる。
Aのお陰で、ちゃんと就職できたし、一人で暮らしてもいる。
だから、これからも頑張っていくためにも、Aが必要なんだって」
私の右手を両手でつかんでいる。
有岡の手のひらの汗を感じ、必死なのは分かった。
だけど、私は首を横に振った。
A「大貴は、私じゃなくてもいいの。
他の誰かでも大丈夫なの。
このまま一緒にいても、また傷つくだけだから、終わりにしたい」
思わず、「大貴」って呼んでしまった。
色々吐き出してるうちに、胸の奥につっかえてたものが取れて、自然に呼んでいた。
プルルル
プルルル
有岡の電話が鳴った。
有岡「はい、そうです。
はい、分かりました」
電話を切ったあと、小さくボソッと
有岡「順番……行こ」
先に車から降りてしまった。
だから私も、急いで降りた。
食事中は、二言三言、美味しいねって言い合う程度の会話で。
美味しいねって言い合えるのは幸せな事なのに、やっぱり寂しかった。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
