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私こそ、ワガママかよって思いながら、 やっぱり来なければ良かったと暗い窓の外を見た。
車を走らせてすぐ、さっきの会話がなかったかのように普通に話しかけてきた。
有岡「食いたいもん、ある？」
A「なんでもいい」
有岡「分かった」
そう答えると分かってたよね。
すでに、どこに行くか決まってたっぽい。
聞き慣れた洋楽が流れている。
元カレの車でも流れてたから聞き慣れてるだけで、この車ではそんなに聞いてない気もする。
たったの半年だったし。
無言で後部座席の背もたれに体を預けて外を見てたら、知らぬ間に寝てしまってたみたいだ。
「ドンッ！」という車のドアが閉まる音で、目を覚ました。
A「えっ！」
目を覚ましたら、後部座席の隣りに、有岡が座ってる。
A「え、何？」
焦って、ドアの方に体をぐっと寄せた。
有岡「まだ、何もしてませんから！
いや、やっぱ混んでて、名前書いてきた」
A「どこ？」
駐車場に車がとまってるのは分かったけど、暗くて分からない。
有岡「ん？ピザ。
あの日から、来た事なかったし、俺にとっては思い出の場所だから」
その言葉で、どこか分かった。
有岡の誕生日に、プレゼントのネクタイを選んでから来た、マルゲリータとマリナーラしかないピザ屋さん。
あの日も混んでて、駐車場で待っていた。
あの日、付き合う事に決めたんだよね。
なんでこっちに座ってるのよって言いたけど、言えなかった。
有岡が緊張してるのが分かったから。
落ち着きなく、前髪を指でなでたり、口元に触れたりしている。
A「有岡……」
有岡「ん？」
こっちを見た。
A「連絡先消さないから、緊急事態が起きたら連絡していい？」
有岡「あ、うん。
緊急事態じゃなくても、なんでもいいよ」
A「千葉に戻る時は、連絡して。
彼女が出来たとかは、知りたくないので」
有岡「Aも、実家に帰る時は連絡して。
俺は、Aがこっちにいる間は、戻らないつもりだから。
彼女は、作るつもりないから」
A「フラフラ遊んでるようなら、彼女がいたほうがいいかな。
んー、でもやっぱりやだな……」
有岡「やだって気持ちって、まだ俺の事好きって事？」
A「違うと思うけど」
有岡「だよな。
あの俺、やっぱAの事好きで。
どうしたらいいか、分かんなくて」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
