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『Aへ
嫌だと言われてた事を直さなかった事、後悔してます。
本当にごめんなさい。
もう一度、やり直すって事は無理かな？
あきらめられません。
大貴』
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もちろん「嬉しい」なんて感情は起きず、今更なんなのよって気持ちしかない。
そのメモを拾い、片手でグチャって握りつぶした。
ゴミ箱に投げ、なかった事にした。
そう……誰かさんに、やられたみたいに。
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新しいスマホケースをつけ、心機一転、明日からの仕事に備えた。
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翌週の平日休みには、引越業者も決まり、
お母さんに、やっとメールでその旨を伝えた。
もちろん「大貴と一緒にいられなくなった」と加えたけど、「分かった」とあまり深くは問われなかった。
先週、愛美にLINEを送ってから、一日一往復くらいのメッセージのやり取りがあり、そっちにも引越すことを伝えた。
愛美『何？ストーカーされてるの？
この前も深夜にチャイム鳴ってたけど』
A『違う。
隣に住んでるの』
まさか、大貴が住んでるとは思わないよね。
そう、大貴呼びも辞めて、次に呼ぶことがあれば有岡呼びに戻すつもり。
一日中、片付けをしていて、
いつも遅い時間まで出しっぱなしの洗濯物を、今日は明るいうちにとりこむ事にした。
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ベランダに出ると、少し空気が冷たく感じて。
もうこっちは秋なんだと思わせた。
久し振りに手すりに腕を置き、遠くの景色を眺めた。
引越してきて、この北海道の景色に期待に胸を膨らませてたなぁ。
やっと一人になれて、清々しい気持ちだったことを思い出す。
右側のベランダをのぞく癖を辞めたいって思ってたっけ。
半年しか住めなかったのは残念だけど、初めての一人暮らしの経験は忘れないと思う。
ニ、三日分はありそうなカレーを作り、食べようと思ったところで福神漬けがない事に気がついた。
面倒だと思いながらも、明日もカレーだし、今日は全然外に出なかった事もあり、前のコンビニで買ってくることにした。
色気もなにもない、Tシャツにハーフパンツ姿。
そして、スッピンに髪を一つに縛っている。
彼氏がいなくなった今は、『こんなんだからダメなんだよ』って思わないといけないのかもしれない。
でも、せいせいした気持ちの方が大きいから、どうでもいいし、なんでもよかった。
袋をプラプラ下げ、マンションの入口に入ろうとした瞬間、見覚えのある影が見えた。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
