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有岡「あと、なんでフットサルのマネージャーになったのか知んねえけど、マネージャーってああいうのじゃないから。
練習に集中できないし、仕事、色々あるだろ。
マネージャーってのは、お金もらわないでも、みんなの為に働く大変な役割で。
あんな感じなら、マネージャーいなくても大丈夫だから……」
大貴が誘ったんじゃないんだ……
有岡「Aはふしだらじゃない。
俺が、だらしないだけで。
だから、こんな風になってるのは分かってる。
ごめん……」
下を向いて、前髪がバサッと垂れている。
その奥がキラリと光り、すぐにポトッとキラリが落ちた。
「ごめん」という言葉は、彼女へか私へか。
アヤ「いや、私も悪かったと思ってる。
彼女さんを傷つけたし、浮かれてた。
有岡さんが優しかったから、つい甘えて。
ごめんなさい……」
泣きそう…
ん？泣いてる？
ふと、私は何を聞かされてるんだろうと我に返り、目をパチパチと数回瞬きをして、逃げる場所もないくらい狭い部屋だけど、その場から去ろうと、二、三歩動いた。
有岡「待って、そこにいて！」
まだ電話切ってないよね。
私に言った気がして、ゆっくり顔だけ大貴の方に向けた。
潤んだ瞳がこっちを見てる。
アヤ「えっ……」
私は首を横に振った。
私がいる事は、言わないで欲しいと。
有岡「いや、なんでもない」
待って、そこにいて！…なんて好きな人に言われたら、ドキッとするから。
きっとアヤさんもそう感じたはず。
アヤ「うん……」
有岡「今まで、良くしてもらった事は感謝してる。
俺、Aにフラれても、やっぱり好きだし。
ずっと、もう何年も片思いしてたから、そんなすぐ忘れらんねえし。
だから……」
言葉を詰まらせたので、再び振り返った。
同期の女の子に、そんな恥かしい事良く言えるなーって。
まあ、大貴にとっても、ただの同期じゃなかったんだろうし、やっぱり見てられない。
お風呂に入るため、寝室から着替えを出し、大貴の脇を通って、浴室に向かった。
着てるものを脱ぎながら、あの二人、事前打ち合わせの演技だったら笑うなーとか。
私、まだちゃんと「別れよう」って言葉にしてないよなとか。
早くスマホケース、開けたいなーって思ったり。
大貴の方に、気持ちが流れないようにしているのが分かった。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
