15 ページ15
・
返事をしないで、玄関の鍵を開けた。
うちの鍵を持ってるのに、こんな風に入ってくるって事は、大貴も身構えているはず。
少し扉を開けると、暗い顔の大貴と目が合った。
A「どうぞ…」
中に招き、私は先に部屋の方に入った。
のそのそと後を着いてきた大貴は、ラフなTシャツとハーフパンツ姿に、スマホと部屋の鍵を持っている。
A「何？
一日しか休みなくて、また明日から仕事だから早くお風呂に入りたいんだけど」
感じ悪い言い方をわざとする。
大貴の目の前から移動して、ピアス、ネックレス、時計を外し、アクセサリーケースにしまった。
おろしていた髪をゴムで縛り、クルっと毛先を丸めてアップスタイルにした。
中々話しださない大貴の前で、早くお風呂に入りたいアピールをする。
有岡「いや、あの……ごめん、帰ってくるつもりだったんだけど」
A「別にいいよ。
何か約束してたわけじゃないし、もともと喧嘩してたんだし」
有岡「いや、でも……」
A「大貴がそういう男だって知ってるから、安心して！
女にだらしないのなんて、今、始まった事じゃないじゃん」
有岡「そういうんじゃないんだって。
彼女の実家に行って、車だから飲むつもりなかったんだけど、お母さんに勧められて、つい……」
A「アヤちゃんって呼べばいいじゃん。
彼女って、私が彼女だと思ってたんだけど、何か違うっぽい。ふふっ」
有岡「いや、そうじゃなくて……」
A「大貴の大切な友達なんだし、私より守られてる彼女と一緒にいたいんだって分かってるよ」
有岡「別に、守られてるとかないし……」
A「私を嘘つきって
有岡「だから、あの時は、その……」
A「何？その、何？」
有岡「何て言えばいいか……
俺にもまともな友達が出来て、それを悪く言われて、つい頭に来たって言うか……」
A「ふふっ、それが本心なんだよね。
私が傷つけられる事より、そっちを選んで。
この二日間、何にも連絡してこないし、この状態でいいって思ってたんでしょ？
毎日アヤちゃんと遊んでたの？」
有岡「遊んでたって言うか……」
A「ふふっ、会ってたって言えばいい？」
有岡「まあ、会ってはいたけど」
A「会いたかった？」
有岡「いや、違う！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
