13 無断外泊 ページ13
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お昼ご飯に、冷たいカップそばを選んだ。
なんだかそんなに食べたくない気分だったし。
気分を上げる為に、ちょっと高めのアイスも買い、コンビニ袋をプラプラさせながら自宅に戻った。
もちろん大貴の部屋の前を通ってきた。
チャイムを鳴らしてみようかと思ったけど、やめて。
冷凍庫にアイスを入れ、そばを開ける前に大貴に連絡してみようと思って。
LINEだと、すぐ返事をもらえないとモヤモヤが増すし。
思い切って電話をかける事にした。
緊張する……
あんまり電話なんてした事ないし、イヤな予感もするから。
エアコンが効いた部屋の窓際に立ち、やっと見慣れてきた少し遠くの景色に目をやる。
大丈夫、一人で頑張るために来たんじゃん。
最悪の場合を想像して、いくつか話す内容を用意した。
よしっ……
スマホで大貴の電話番号を選んだ。
心臓がドキドキとうるさくて、血の気が引いていく。
プルルル……プルルル……
10回くらい呼んだ後、プツッと言い、グッと力を入れて耳元に集中した。
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「もしもし、有岡の携帯です！」
そんな事分かってる。
私からの電話だから、そんな風に出たの？
A「もしもし、Aと申しますが、大貴、そばにいますか？」
「あぁ、彼女さんですよね？
私、アヤです。
ちょっと待っててくださいね」
体が震えてきた。
さっき血の気が引いたと思ったけど、今はもっと倒れそうに血の気が引いていく。
電話口も抑えずに、わざとなのか大貴を起こす声がして、遠くでもぞもぞと大貴の声がしてきた。
そして、ガサガサと大きな音が耳元でして、やっと寝ぼけた声がした。
有岡「もしもし……」
A「Aだけど」
有岡「おぉ……」
焦ったりしないんだ。
このパターンの時に言おうと決めてた事を告げた。
A「ちょっと出かけてくるね」
有岡「うん、わかった」
A「じゃあ……」
有岡「うん」
こっちが先に切ろうと思って、ブチッと思い切り切った。
喧嘩中のカップルが、久し振りに話す内容としては、好印象でしょ？
怒ったり暴れたりしたら、負けだと思って。
怒りを抑えるのに必死で、ぎこちない優しい声になったと思う。
再び、遠くの景色に目をやった。
大貴の病気が発生している。
どんな言い訳があるんだろう。
お昼を食べる気にならず、最終手段に出る準備をする為、オシャレをして外出をする事にした。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
