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有岡「俺の部屋に行ってから、みそ汁作りだした」
A「そっ……」
この後、私は何て言えばいい？
怒る？
私のメモ捨てたの、アヤさんじゃない？って。
それとも、大貴が怒ってくれる？
あいつがやったんだ！って。
私は誰かの悪口を言いたくない。
ましてや彼氏の前で。
証拠もないし、絶対そうとは限らない。
10秒くらいの沈黙の中、大貴はしわくちゃなメモを見ている。
そして、やっぱりそうかという事を口にした。
有岡「あぁ！思い出した！
これ、俺が捨てたんだわ。
多分、窓が開いた時かな、床に紙が落ちてて、ゴミだと思ったんだ。
ほら、A、折り紙とか画用紙の切れ端、落としてんじゃん、いつも。
それかなーって思ってさ」
へへへって変な笑い方をして、鼻の下に人差し指を当ててから、鼻をはじいた。
何も言えない。
だからって、「ひどいじゃん」とふざけても言えない。
ただ、もうがっかりで。
もし本当にそうだとしても、今朝はちゃんと掃除機をかけた。
いつも散らかしてるって思ってるんだ。
A「もういい……」
有岡「うん、解決してよかった。
あぁ、ごめんな、せっかく作ってくれたのに。
Aの料理、美味いから、みんなにも食わしてやりたかったな」
私が信じてると思ってる？
めちゃくちゃ笑顔で、そんな事を言った。
ごめんななんて思ってない。
とりあえず、アヤさんが悪い者にならなくてよかったって顔をしている。
A「お風呂行ってくる」
有岡「おぉ、ゆっくりな！」
寝室のタンスから下着を出した。
そして、浴室に向かう前に、キッチンでさっきのみそ汁の鍋の中身をシンクに流した。
大貴は気がついていない。
解決して、ホッとしてスマホでゲームをしている。
軽く鍋を洗って、小さくため息をつき、浴室に向かった。
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もちろん、髪を洗いながら泣いた。
呼吸困難になるかと思った。
その息が苦しいのが、あの日、海の中をずんずん歩いて行った時みたいだった。
今日は誰も助けてくれない。
力強く、私を抱えてくれる人はいないんだよね。
裕太くん……助けて……
私の味方をしてくれる人は、誰もいなくて。
苦しくて苦しくて、涙が止まらなかった。
もう嫌だ……
そんな気持ちでいっぱいで。
笑顔もなく大貴に「お先に……」と告げたのに、満面の笑みで「おぉっ」と浴室に消えていった。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2020年3月16日 19時
