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その後も、このグループがどうだとか、サルの社会の妄想を、ずっと喋ってた。
すごく楽しそうで、見ている私も楽しくなる。
腰に回されてる手が、興奮してギュッとつかんだり、
変な事言うとパンッて叩かれたり、忙しく動いて。
くすぐったくて、でもドキドキした。
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A「ねえ、そろそろお昼にしない?
簡単なお弁当、作ってきたの」
有岡「マジ?!嬉しい。
もしかして、このリュックの中そうなの?
ごめん、持ってあげればよかったね」
A「後で、私の事持ってもらうから、大丈夫!」
ふざけて言ったのに、何か顔を赤くしてて・・・・
どんな想像をしてたんだろう。
手を繋いで移動して、不忍の池(しのばずのいけ)のベンチに座って
土鍋で炊いたご飯のおにぎりを出した。
簡単なおかずも添えて。
相変わらず「うんまっ!」と叫んでくれる。
有岡「なんか、のんびりしてて 、いいね・・・・」
ぽかぽかとして、気持ちのいい午後だった。
こういうのを、幸せと言うのかな。
残りの動物たちも、写真を撮りながら見て回って、
私の中では「ゴリラを食べる大ちゃん」っていう写真がお気に入り。
横を向いて、すごく大きな口をあけてる顔が、笑えるんだよね。
うん、私もやらされたけどね・・・・。
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A「なんか、大ちゃんと一緒だと、楽しい…」
ちょっと下を見ながら言ったら、
有岡「ありがと。
付き合いたくなったでしょ?」
え!って、顔を上げて大ちゃんの顔を見たら、すごい笑顔で、こっちを見てた。
A「・・・・うん」
有岡「よしっ!
次は、アメ横行くよ!」
手をグイッと引っ張られて、
半歩前を歩く大ちゃんが、ちょっと頼もしく見えた。
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有岡「ねえ、これ食べたい!」
揚げたてのコロッケを指さした。
A「私、こっちのハムカツ食べたい!」
有岡「ふふっ、一緒に食べてくれる女の子・・・・いいよね」
もしかして、「私はちょっと無理」っていうのが、普通なの?
揚げ物を控えてるっていう女の子が、いるのか…。
まあ、そういう女の子と付き合ってたのは、なんとなくわかったけど。
一つずつ買って、「ちょっと、ちょうだい!」って食べ合うのなんて、恋人同士だから出来る楽しみだよね。
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あっ、恋人同士か……
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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年1月6日 20時