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有岡「Aちゃん、免許持ってるの?」



A「うん、一応ね。ペーパーだけど」



有岡「そうなんだね、ちょっと意外だけど」



A「実家が田舎だから、免許持ってるのが普通だから。

  でも、全然運転できないから、もし、転勤にでもなったら、まずいの。

  会社、辞めなくちゃいけない!」



有岡「マジで?!そりゃ、まずいじゃん。

  てか、練習すればいいんじゃねえの?

  公道、走ってたんでしょ?」




A「教官乗せてないと、走れないもん」



有岡)「女子も、転勤ってあるの?」



A「あるよ、そんな甘くない」



有岡「実家、どこなの?」



A「え?!誰かさんと一緒の千葉です。

  めちゃくちゃ、田舎だけど」



有岡「そうなんだ、千葉って広いからねー。

  出席番号が、生まれ順なんだよね、千葉って」





そんな、どうでもいい話を、ずっとしてた。


まだ知らない事いっぱいあって。


何を話しても新鮮で、興味深くて。


信号が赤になると、こっちを向いてくれるのが嬉しくて。




A「大ちゃん、ガム食べる?」



有岡「あ、食べる。あーーん」



A「え?あ・・・・はい」



大きくあいた口に、唇に触れないギリギリの所から、転がすようにして入れた。




有岡「おぅっ・・・・ちょっと!」



A「あ、ごめんごめん。へへっ」




2列目以降は、誰も見てないようだったけど、起きてる可能性はあるからね、だから変な事は出来ない。


ついつい、二人だけの世界みたいになっちゃいそうで。




スマホの音楽が一旦止まり、次に流れてきたのは、私が好きだって言ったアーティストのアルバムだった。




有岡「ダウンロードしたんだ」


A「うん・・・・」




それ以上、言えなかった。

恥ずかしくて。

ホントは『嬉しい』って伝えたかったけど、2列目以降の人たちが、寝たふりしてたら嫌だし。

私の顔を、チラッと見てくれたから、多分、大ちゃんには伝わったと思ってる。




有岡「やっぱ、車、本当に欲しくなっちゃったなー」



A「ふふっ。ちゃんと貯めてる?」



有岡「んーー。とりあえず、家賃を払うつもりで、そのくらいは貯めだした。

  でも、今日ね、これ乗せて貰って、本気出そうって思った。

  頑張る!!

  課長!ボーナスの査定、上げてね!」




A「私にその権限、ないから!

  部長にお願いしてよ!」


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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年1月6日 20時

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