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46 Yuta ページ46

Yuta





A「だけどね、あの事を忘れたり許したりする事は出来なくて。

  何をしても、心に引っかかってくる」





玉森「うん……」





A「楽しかった思い出だけで、過ごしていければいいのに。

  やっぱり無理かな……ごめんね」





玉森「ううん、大丈夫」





A「これ、ありがとう。

  ダッフィーのパペットも、お仕事で使えるといいな」





玉森「あ、あのさ。

  3/1……空港まで送らせて欲しいんだけど」





A「ううん、大丈夫。

  会ったら、気持ちが揺らいじゃいそうだし。

  電車で行くね。

  電車で一本で行けるから、裕太くんも彼女と待ち合わせしたんでしょ?」






玉森「……うん」






A「で、今日いっぱいで、LINEはブロックさせてもらうから。

  その後、削除しちゃうかもしれない」





玉森「えっ……」





A「今日は最後のお願いの日だし。

  ちょうどいいかなって思って」





それは困るって言えなかった。

ずるずると、俺の連絡に付き合ってくれてたのは、気持ちがあるからじゃなかったんだ。

すごくショックで、その後すぐ始まったショーは、全然入ってこなかった。




Aも一緒で、いつもだったら「キレイ!」とか「ミッキー!」とか騒ぐのに。

たまにしか瞬きをしないで、真っ直ぐ前を見てるだけだった。












A「次、何に乗る?」





さっきまでは、手をつないでくれてたけど。

手を引っ込められた。

やっぱりショックだけど、仕方なくて。

それでも、笑顔で接してくれるだけ良かった。





俺がホワイトデーのプレゼントとしてあげたダッフィーのパペットを、袋から出して手につけている。

カエルのパペットと違って、口がパクパクするわけじゃなくて。

ダッフィーの両手を動かして、園児に向かってするように、俺に話しかけてくる。





A「裕太くん、私の事は忘れてもいいんだよ。

  私も、忘れようと思ってるから。

  ここから出たら、魔法で、高校二年の夏休みにみんなでディズニーに来た時と同じ関係になります!」





玉森「え……」






出口のバーを押した。

俺のすぐあとに、Aも押した。





その、魔法ごっこみたいなの、本気でやるの?










A「私、こっちだから。

  また学校で」






玉森「え、待って」




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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月12日 17時

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