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Yuta
A「うん、一週間くらい遅くなっちゃったけど、バレンタイン。
お返しは、もうこっちにいないから、いらないよ。
チョコレートブラウニー。
毎年一緒で代わり映えしないけど」
玉森「え、作ってくれたの？
俺の為に？」
A「お父さんにもあげたから、二人の為だけど」
玉森「これ、七年連続でもらったな。
ありがとう」
A「こっちに置いとくね」
後部座席に、その箱を置いていた。
付き合いだしてからは、それとプレゼントもあったけど、やっぱり今年はないんだよね。
物が欲しいとかじゃなくて、アレを許してくれても、彼氏じゃないんだよな。
・
俺のバイトの話とか、卒業式の話とか、誰がどこに就職したとか、いっぱい話して。
予定通り、16：30頃ディズニーシーに到着した。
シーにしたのは、Aの希望で、ダッフィーのパペットが欲しいらしい。
チケット代は、割り勘にさせられて。
お腹空いてたから、まずレストランに入ったけど、そこは俺が出す事が出来た。
これは付き合ってた頃からずっとなんだけど、だいたい割り勘で過ごしていて。
頼りにされてないのかと思ったけど、「長く付き合いたいから」って前に言われた事があった。
もう、終わりにする関係なんだから甘えてくれてもいいのに。
そういうとこが、頑固だけど、好きなところでもある。
ハワイでは、当たり前のように、全部おごったから。
何度も来たから、だいたい乗りたいものも分かってるし。
食べたいものも、分かってる。
メディテレーニアンハーバーのショーを、正面からじゃなくて、後ろ側の穴場のベンチで見るのが好きで。
今日も早目にそこに行き、ショーが始まるのを待った。
玉森「疲れてない？」
A「うん、大丈夫」
時々静かに前を向き、何かを考えている顔をする。
A「裕太くんは？
楽しい？」
玉森「楽しい」
A「今日は一日、裕太くんとの思い出を振り返ったり、
ちゃんと伝えておかないといけない事を話そうと思って」
まだ閉園まで二時間もあるのに、最後のお別れの言葉みたいな事を話しだした。
玉森「うん‥…」
A「裕太くんを好きになって、幸せだったなって思ったよ」
玉森「……うん」
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月12日 17時
