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Yuta
その日は返信が無かった。
幼馴染と何ともなってないといいんだけど。
次の日のお昼前、返信があった。
A『裕太くん、昨日は寒い中お願いしちゃってごめんね。
ポストに入ってたものは、宛名もなかったし、隣りの家のポストに突っ込んでおきました。
そんな事より、これ見て！』
少し間があって、ピコンと音と共に送られてきたのは、昨日俺があげたカエルのパペットの写真だった。
それも、そのカエルの胸辺りにフエルトの名札がついていて。
平仮名の大きな文字で「たま」と縫い付けられていた。
A『これ、腹話術みたいにも使えるし、すごくいい！
でも、たまちゃんって、ネコみたいかな？』
玉森『もう作ってくれたんだ。
なんで「たま」なの？とか聞かれそう』
A『好きだった人の名前』
玉森『過去形…』
ふざけちゃうAに、ちょっと傷つく。
それでも、今はこんな関係でもよくて。
あと少しだけ、そばにいるだけで我慢する。
・
年も明け、卒論の提出期限になんとか間に合った。
Aは、余裕で提出したそうだ。
相変わらず、2週間に一度くらい連絡を取っている。
俺はもっと連絡したいけど、自分を必死に抑えている。
そんな中、珍しくAから連絡があった。
A『裕太くん！内定もらえた！
近々、札幌行ってくるね』
もう一月下旬。
やっとなんだね。
玉森『おめでとう！
よかったじゃん。
空港まで送って行けるから、行く日決まったら教えて』
大丈夫って言われるかなって思ったけど、お母さんも一緒だから甘えていい？って。
あれから、お母さんには会ってないから。
どんな顔して会えばいいのか分からなくて。
申し訳ないって気持ちを持って、誠心誠意頑張ろう。
・
玉森「おはよう」
A「ごめんね、助かる！
ありがとね。
ちょっと荷物があるから……」
何だか大荷物だ。
A「荷物を、少し持って行く事にしたの」
本当に引越しちゃうんだって実感する。
A母「裕太くん、よろしくお願いします」
あとからお母さんが出て来て、家に鍵をかけている。
玉森「おはようございます！
よろしくお願いします」
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月12日 17時
