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私の甘い考えを、改めて許してくれて。
家族でちゃんと話し合えた。
大学で上京してる子は、引き続き親元を離れて就職する。
それを考えたら、特別な事じゃないけど。
一人っ子の私と、転勤&出張族のお父さんとの間を、お母さんがちゃんと繋いでくれた22年間。
これからも、もし離れてしまっても大丈夫って確認出来た。
その後、お父さんはお風呂に入って、先に寝てしまって。
私はお風呂から出た後、ベランダに出た。
癖って怖くて。
初めて出るベランダでも右側を見てしまった。
でもね、こういうマンションは、隣りのベランダは全然見えなくて。
完璧に隔たりがあって、なんだかニヤけてしまった。
『非常の際はここを破って隣戸へ避難してください。
この付近に物を置かないでください』
このメッセージを毎日見てたら、見る癖が治るかもしれないって思って。
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八月でも、北海道の夜は気持ちがいい。
濃紺の空に輝く星たち……
天を見上げて、一番に思ってしまったのは裕太くんだった。
二人で見上げたどこかの夜空に、似てる気がして。
裕太くん、元気かな。
あれから数週間……許せなくて、やるせない日々が続いている。
早く、忘れられますように。
大きなため息をついて、部屋に入った。
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北海道には三週間近くいて。
まだやってるセミナーに参加したり、直接園で見学させてもらったりした。
時間がある日は、近所の散策をしたり、観光をして。
週末は、免許取って以来、初めて車の運転をしたり。
お父さんの車は、裕太くんちのより全然小さいから、それは良かった。
助手席専門だったけど、それが役に立ってる気がして。
また、裕太くんを思い出してしまった。
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千葉に戻ってきても、少しだけ夏休みが残ってて。
彼氏がいないって暇だな……なんて寂しい事考えて。
自分の時間も悪くない……って無理矢理思う事にした。
落ち着いて就活と卒論を、進めていった。
私立保育園の採用試験の為に、九月と十月に札幌を訪れ、お父さんと二人で数日過ごした。
必ず車の運転の練習をさせられて。
少しは慣れてきた気がする。
十一月のはじめ、バイトが終わって、駅前を歩いていた21時過ぎ……
急に声をかけてきたのは、裕太くんのお母さんだった。
裕太母「少し、お話させて欲しいの」
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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月12日 17時