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今度は名前は言わないんだ。
少し重めのドアを開けると、やっぱり大きなスーツケースと有岡が立っていた。
A「どうぞ」
有岡「ちょっとその前に、一つ話があって。
それ履いて、出てもらっていい？」
A「え、外に？
上着、あった方がいい？」
有岡「すぐ終わる」
A「鍵はかけたほうがいいよね」
有岡「あー、顔出してくれるだけでいいわ」
A「ん？
荷物、預かっておこうか？」
有岡「いいや」
サンダルをはき、ドアを全開にして、有岡の事を見た。
すると、何故か隣りの部屋の鍵を、ガチャンと開けて、ドアの中に入ってしまった。
そして、出てきた時は、財布とスマホしか持ってなかった。
A「え、何？
荷物は？」
有岡「だから、そういう話をこれからするんだけど、
まず、今日からあの部屋で暮らす事にしたから」
A「え、誰が？」
有岡「俺しか、いねえじゃん」
A「え、ちょっと待って。
何でよ、何で暮らすのよ」
有岡「だーかーらっ。
入るぞ」
私の腕を引っ張って、ドアの中に入れた。
そして、有岡が鍵をかけた。
A「え、」
有岡「『え』多すぎ。
入っていい？」
A「ど、どうぞ……」
スリッパをだしたけど、いいと言われ。
私だけ、自分のモコモコスリッパを履いて、部屋の中に入った。
有岡「すげー、いいじゃん。
俺、どんな風にすっかなー」
勝手に部屋の中をじろじろ見ている。
二人掛けのダイニングテーブルの上に、携帯と財布を置き、椅子を引っ張って座った。
A「何飲む？
冷たいものの方がいいよね。
まだ、猫舌なのかな」
有岡「よく覚えてるじゃん」
A「別に、そういうんじゃないし。
サイダーか、カルピスソーダっと、ほうじ茶くらいかな」
有岡「じゃあ、カルピスソーダとカレーで」
A「え、カレー？
有岡の分は、ないよ」
有岡「いいじゃん、あとでメシおごるから。
今日、なんも食ってないんだって」
A「……」
あとでおごってもらう為に、さっき作ったカレーを出す事にした。
A「ご飯は、冷凍のしかないけど」
有岡「いいよ」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月27日 23時
