48 Daiki ページ48
Daiki
有岡「え、何?」
A「こんな風に背中を向けてきた。
見ないようにしてきたのね」
顔だけ少し振りかえっている。
A「それなのに、有岡がこっちに来てからは、こんな風に寄り添いたくなって」
ソファーに座ったままだから、角度がおかしいけど。
斜めに向けた背中を、今度は俺の体の左側にピトッてくっつけてきた。
A「で、今日なんかは、こんな風に同じ方向を見て」
ソファーにちゃんと座り直し、俺の隣りに礼儀正しく座っている。
A「同じ方向を見つつ、有岡の事も見れるようになった」
顔をこっちに向けて、ニコッて微笑まれた。
A「で、最終形態はこうしたい」
力強く言った後、ソファーから立ち上がった。
そして俺の正面に立った。
スッと差し出された手に、自然と手を添えると、軽くつかまれて引っ張られ、俺も立ち上がっていた。
揺れた瞳が真剣で、俺の事を上目づかいで見ている。
・
A「正面から向き合いたい」
なんだか久しぶりだなぁ。
女の子に正面からこんな風に見られるのって。
高校の頃、学校で告白された時以来かも。
トンッ
そんな事考えてたら、俺の首元にAがもぐりこんできた。
有岡「あっ…」
思わず声が出た。
Aは、俺の胸元に手を置き、顔を右に向かせてほっぺを押し付けている。
A「タバコの臭い、しないんだね」
有岡「だって、やめて10日以上たってるし」
A「ホントに辞めてるんだ。
で、その手、そのままでいいの?
いいよ、別に……」
AにOKもらうまでは、抱きつかないしキスもしないと決めている。
だから、行き場を失った手を、上に向けてあげていた。
『いいよ、別に……』の後に、抱きしめてもいいよって事なんだろうけど、やっぱダメだ。
手をあげたまま、
有岡「タバコの臭い、したほうがいいの?」
A「どんなかなって思って」
有岡「どんなって、臭いんだろ、前に言ってたじゃん」
A「そうだけど。
彼氏の匂いだったらいいかなって。
ねえ、誰でも吸えるのかな?」
有岡「え、俺だって最初はむせたけど。
吸ってみたいの?」
A「んー、いや、タバコ吸いたい時ってどんな時かなって」
なんだか奥歯に物が挟まった言い方が気になった。
・
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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月27日 23時