35 Daiki ページ35
Daiki
何をもっと話したいと思ってくれたんだろ。
すげー気になる。
だけど、そこで失礼をして、部屋に戻った。
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部屋の中がひんやりと冷たい。
さっき暖房をつけてたのにな。
風呂のスイッチを入れ、そう言えば母ちゃんからの封筒の事を思い出し、ビリビリと破って開けた。
小さいメモには「たまにはAちゃんにご馳走してあげなさい」と書かれ。
中には10万円入っていた。
まあまあの金額でビックリしたけど、「お小遣いよ」って言うよりは正当化されてるから。
また、Aとご飯でも食べる事があれば、使わせてもらうよ。
スマホを出し、母ちゃんにメールをした。
“おばさんが来て、封筒受け取った。
ありがとう。大切に使うよ”
それを送ったタイミングで、隣りの家のドアが開き、声が聞こえたので、帰るんだなって分かった。
Aが一人になったとこで、今日一日の役目が終わった気がした。
Aに連絡をしたい気持ちを我慢して、風呂に入る事にする。
・
翌木曜日も、おじさんの社宅で、ゴミとリサイクルするものとを分けて。
リサイクルショップに持ち込んだ。
七年間の荷物は、結構貯まっていて、着ない洋服もだいぶ捨てた。
お客さん用の布団セット二組は、うちとAのとこに一組ずつ置くことになった。
お昼はおばさんと二人で食事。
夕飯は四人で。
片づけをする時だけ、Aと隣に並んで話せた。
翌金曜日は、おじさんが送別会があるからと。
夕飯を三人で食べた後、おばさんはAのとこに、泊って行くんだって。
土曜日は、Aは仕事で。
おばさんを車に乗せて、おじさんの社宅に行った。
今日は、午後引越業者が来て、いよいよ引越になる。
箱に詰めるのも引越屋さんがやってくれて。
俺も、引越屋さんの見習いみたいに仕事を手伝った。
すっからかんになった部屋を、それぞれ見ていた。
俺は「終わった」っていう安堵感でいっぱいだった。
今日は、家族三人で過ごしてほしくて、友達もいないのに「用事があるんで」とドアを出ようとしたところで、おじさんに呼び止められた。
A父「大ちゃん、今回は手伝ってもらって助かったよ、ありがとう」
有岡「いえ」
A父「Aの事、お願いしますって言ったら、認めたことになっちゃうかな」
有岡「いや……」
やっぱりおじさんは、認めたくないっぽい。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月27日 23時