2 Daiki ページ2
Daiki
有岡「え？いや、そんな事はないって」
A「フラれる前から、色んな女とのイチャイチャを見せつけられて。
フラれた後も、耳をふさぎたくなるような女関係で。
一時期、ヘッドフォンが手放せない事もあったし。
死にたいって何度も思ってた」
有岡「……うん」
A「幼馴染の延長の好きなのか、なんなのかも分からなくなって、ホントに辛かった。
だから、そんな幼馴染がいる千葉から出られるのは、嬉しくて仕方ないよ」
有岡「そっ……」
A「裕太くんに送って行くって言われて、電車で行くからいいって断ったのに、嘘をついた形になっちゃって」
有岡「うん」
A「後味が悪い」
有岡「ごめん」
A「裕太くんの、一度きりの浮気を、許してあげればよかったって思う事もある。
でも、就職先決めちゃったし、これが運命だったんだなって」
有岡「うん」
A「就活をしてない人に、同情されたくない」
有岡「うん、ごめん」
A「もう、有岡にかかわらなくて済むかと思うと、ホッとしてる」
有岡「うん…」
A「一つだけお願いがあるんだけど」
有岡「何？」
A「お父さんが、また出張が続いたら、お母さん一人になっちゃうから。
だから、お母さんの事、気にかけてあげて欲しいの」
有岡「え、俺も、あんま家にいないし……」
A「なによ、ケチ！
嘘でも、分かったって言ってくれればいいのに！」
大きな声を出して、俺を睨んでいる。
よかれと思って、車で送ってきた事が、お互いにこんなに苦痛になるなんて。
有岡「母ちゃんに、言っとく」
俺の言葉に、完全に無視をしていて。
窓の外を睨んでるみたいだった。
一度だけ、手で目を大きくぬぐっていたのが見えて、泣いているのが分かった。
クマのぬいぐるみはダッフィーだって分かって。
きっと、“裕太くん”にもらった大切なものなんだって思って。
それをギューッて抱きしめてる姿は、やっぱり昔のA、そのものだった。
・
A「ありがと」
有岡「気をつけてな。
俺は、すげー寂しいから」
後部座席のAに向かって、本当の事を伝えた。
だけど、2秒くらい下を見て。
その後、すぐにドアを開けている。
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年5月27日 23時
