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Daiki
俺の言葉に、頬を赤らめた。
A「まだ、雪降ってるかな」
照れ隠しで、カーテンの隙間から外をのぞいている。
A「少しやんできたかな」
有岡「分かってはいるつもりだったけど、北海道って雪ばっかだな」
A「そうなの。
冬の遊びがね、関東とは違うから、悩むんだよね。
あとね、新人は雪かき当番だからね」
Aの言葉を背中に、キッチンに入った。
有岡「だよな」
パタパタと足音がして、すぐ横で話しだした。
A「後悔してる?」
有岡「全然。
Aを独り占め出来て、満足だけど?」
A「ふーん。
片付けやってもらっちゃって、ありがとね」
また、無視かよ。
有岡「あ、あのさ。
おじさんの引越、俺、手伝いたいなって思ってるんだけど」
A「え……」
有岡「どうかな?逆に迷惑とかある?」
A「ううん、私が手伝いにいけないから、私的には助かるんだけど。
3/31が月曜だから、その日は休むって決めたんだって。
だから、28日の金曜日までにして、その週末に引越すみたいなのね。
で、お母さんが、私の様子を見つつ、引越の手伝いしにくるんだけど、車の運転も出来ないし、どうかなって思ってたとこだった」
有岡「車の運転は、若干自信ないけど。
でも、Aよりは運転出来ると思うし。
チビだけど、力仕事は頑張りたいかな」
A「ありがと。嬉しい」
嬉しいって言うけど、恥かしそうに視線を外した。
そんな仕草も、好きなんだよね。
有岡「おじさんとおばさんに、伝えといて」
A「分かった。
じゃあ、帰るね。
お邪魔しました。
あっ!ココア入れるの忘れてた。
ちょっと、大急ぎで作っちゃうね」
有岡「うん」
マグカップに、牛乳とココアの粉を入れて、電子レンジの中に入れた。
電子レンジの扉の前で、中をじーっとのぞいている。
“チンッ”と音が鳴ったので扉を開け、モコモコのパーカーの袖を伸ばして、マグカップの取っ手をつかんでる。
A「あっち!
スプーン、スプーン」
スプーンでクルクルとかき混ぜてるその一連の作業が、本当にホッコリして。
Aには、その話を禁じてるのに、あいつとこんな風に過ごしてたのかと思うと、今更だけど嫉妬する。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月27日 23時