8 Daiki ページ8
Daiki
高校生活も、すでに半年を過ぎた。
夏休みに葵ちゃんたちと会った時も落ち込んだけど、俺は高校生活、全然楽しめてない。
部活ばっかでさ。
あの時Aが言ってたみたいに、今やらないといけない事を一生懸命やればいいって、ホントかよって思うけど。
今は、目の前にある事を一つずつこなしていくのに精一杯だから。
ここから抜け出せないのは仕方ないんだよね。
あっ、また余計な事考えてた……
Aは一人で、海の方に近づいている。
なんだか楽しそうだ。
俺が近づくと
A「波打ち際が、全然怖くない」
有岡「濡れるからやめとけよ」
A「分かってるって」
小さい頃の俺は、すでに濡れてただろう。
Aに注意をしてる時点で、面白くない大人になりかけてるなって思って。
キラキラ輝くAの横顔を、羨ましく思ってた。
ベンチに座って、レインボーブリッジの方向を見ていた。
空がオレンジ色に染まりだし、遠くに見えるビル群が黒く見えた。
秋の風が少しだけ冷たくて、Aが寄りかかってくる体温が温かかった。
Aの手を握ったら、思いのほか温かくて。
冷たい俺の手にビックリして、こっちを見ている。
A「寒い？
夕飯は、どうするの？
もし決まってたら、もう行かない？
大貴、風邪ひくと困るよ」
まだ五時だけど、このあと観覧車でどのくらい待つか分かんねえし、食っとくか。
有岡「あそこの中にチェーンのオムライス専門店があるんだけど、そこでもいい？」
A「うん、いいよ！行こ！」
本当はAの好きなもんがいいと思ったんだけど、今更だけど、Aが好きなもんはマーブルチョコしか知らなくて。
下調べ出来なかったんだ。
・
A「ふふっ、美味しい！」
いっぱいメニューがある中で、Aと同じものになってしまった、つまらないカップル。
それとも仲良し過ぎるって言うべきか……
ハヤシライスのオムライス、中はケチャップライスで。
AはSSサイズ、俺はMサイズってのは違うけど。
たわいもない話をする時間が、いっぱいあり。
初めて聞く話も結構あった。
数日前、険悪なムードだったのが嘘みたいに穏やかに話せて。
ホッとしていた。
ケーキの代わりに頼んだパフェを大きな口で食べている。
A「大貴もどうぞ」
有岡「冷てっ！」
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年3月13日 22時
