41 県大会 ページ41
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A「もう少し、女の子と距離を置いて欲しい」
彼女として、普通の事を言ったと思ってた。
それなのに、
有岡「じゃあ、Aだってそうしろって」
A「え？私は大貴とは違う」
有岡「ちがくねえだろ。
部活……辞めてくれよ」
A「え、なんで？
それとこれとは、全然違うじゃん」
有岡「一緒だろ。
いっつも、男の世話して、ちやほやされてんだろ」
A「ひ、ひどい！
そんな風に思ってたの？
もう、離して！！」
頭にきて、腕を払った。
そして、走ってうちに帰った。
もちろん追いかけては来ない……
・
また気まずくなってしまった。
もう、ダメなのかもしれない。
上手くいく方法が見つけられなくて。
お互い、不安の中で、それぞれにヤキモチをやいて。
会えない分だけ、すれ違う事が増えたんだと思う。
二回目にもなると、わんわんと泣くことはなかった。
ただぼーっとベッドで天井を見てると、涙がこめかみに伝わってくる。
とっても静かに、あふれてくる。
何にも動いてないのに、すごく体力を消耗した気分で。
疲れて、苦しくて、呼吸が早くなってくる。
大貴からのメールも電話もない。
もちろん、その翌日も、またその翌日も。
その週末から、県大会が始まり、気持ちを上げていかないといけなかった。
いつも県大会出場が目標の我が部だから、これが三年生にとって最後の試合になるかもしれない。
二年と一年のマネージャーで、ミサンガを作ろうって話して。
私が全部引き受けて、夢中で作っていた。
何も考えなくて済む、唯一の時間だった。
・
県大会当日、雨が降っていたけど、室内の部活は心配することがないので、本当にいい。
初めてくる高校で、校舎の方の給水器を愛美と探していた。
そこで、なんとも久し振りの人に話しかけられた。
「Aちゃん……だよね」
A「え、あ、うそ。
高木先輩！」
先輩は、あの頃も十分大人っぽかったけど、それにも増して大人っぽかった。
大貴と、一つしか違わないとか全然見えない。
……また、大貴。
高木「え、もしかしてマネージャーやってんの？」
部活のTシャツを見て、バスケ部だという事は分かったみたいだ。
A「はい、そうです」
高木「マジで？！東高って、すげーな」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年3月13日 22時
