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なんとなく話が落ち着いたところに、おばさんが出てきた。
おばさん「そろそろ六時だから、終わりなんですけど」
有岡「あっ」
A「あっ」
有岡「また来るね」
おばさん「また二人で顔出してね」
有岡「はいっ！」
A「はいっ」
大貴と顔を合わせて、自転車にまたがった。
自転車をうちに置いてこようって事になって、縦に並んで出発した。
小さい頃から何度も通ったこの道を、変わらず大貴の背中を見ながらうちに向かう。
このスピード感も変わらない。
赤信号で横に並ぶ。
目を合わせて微笑み合う。
青になると、大貴が先に出発する。
何も喋らなくても、二人の距離感も、止まるタイミングも、スムーズで。
あっという間にうちの前に着いた。
そっと自転車を置いて、大貴の腕をかるくつかんで歩きだした。
会う前はモヤモヤしてたのに、ミヨシでタイムスリップをしたせいで、恋人同士の気持ちに戻ってた。
あと、大貴が部活の話をしてくれたのが嬉しくて、まだ私を、特別に思ってくれてるのを感じたから。
有岡「腕、いいの？」
A「ん？うん…」
ご近所さんに見られる面倒臭さより、大貴に触れていたかったから。
有岡「あのさ、すげー先なんだけど、俺の好きなアーティストが来日するから、一緒にライブ行かない？」
A「え？いつ？」
有岡「九月入ってすぐ」
A「いつもCD貸してくれる人たち？」
有岡「そう！」
A「えー、行きたい。
部活も休むし」
有岡「俺も、休む！
よしっ！申し込み頑張ろ！」
A「取れたら、教えてね」
有岡「うん！すぐ連絡する！」
大貴の笑顔が戻った。
良かったって思うのは、やっぱり好きって気持ちなんだよね。
以前みたいに、普通に話しながら歩いていると、「ココ！」と細い道を曲がる案内が書いてある、小さな看板があった。
有岡「これこれ！」
A「こんなとこ、自転車で過ぎちゃうから、気がつかなかった」
細い道を入ると、声のトーンを下げた。
A「ピコレ？どんな意味なんだろうね」
有岡「そういうのは、Aの方が知ってるだろ」
A「響きが可愛い！
どんなとこなんだろ」
有岡「楽しみだな」
A「うん！」
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突然現れた、赤いドアが印象的な可愛いおうち。
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年3月13日 22時
