2 Daiki ページ2
Daiki
母ちゃんが振り返り、俺の指さす方を見ながら、俺の目の前にハンバーグの皿を置いた。
有岡母「あぁ、ほら、おとといAちゃんの誕生日だったじゃない。
で、学校のお友達にもらったみたいなんだけど、食べきれないとかで。
あ、勝手にもらってきちゃったから、Aちゃん気づいてないかも。
いや、おばさんがどうぞって言うからさ」
俺は、母ちゃんがペラペラしゃべる言葉を、携帯の画面を見ながら頭の遠いとこで聞いていた。
そして、かなり遅れて、大変な事に気がついた。
急に立ち上がったから、母ちゃんが驚いてる。
有岡「今、なんつった」
有岡母「え、だから、おとといAちゃんの誕生日で…」
有岡「嘘だろ……やべえじゃん！
なんで、早く言わねえんだよ」
有岡母「ちょっと、お母さんに何て口、利いてんの！
だいたい、自分と丁度半年違うの、知ってるでしょ！」
その言葉は、玄関で聞いていた。
携帯を持って、玄関でサンダルをはいていた。
有岡母「どこ行くのよ！
夕飯は？」
有岡「後で食う！」
慌てて家を出て、Aんちのチャイムを鳴らした。
おばさんが出てきた。
A母「こんばんは、どうしたの？」
有岡「こんばんは…
Aは‥‥」
A母「今、お風呂入ってるけど…
ちょっと待ってて、声かけてくるね」
有岡「すいません」
おばさんが脱衣所のドアを開けると、Aのシャンプーの香りが流れてきた。
あーっ、なんて話し始めようって、急に慌てた。
A母「ちょっと待ってて」
有岡「はい…」
・
怒ってるのか、
悲しんでるのか、
無視されてるんだったらどうしよう。
手に汗が滲んできて、制服のズボンで手のひらをふいた。
カタンッ
脱衣所のドアが開き、頭にタオルを巻いて、パジャマ姿で現れた。
少し頬を赤らめてるのは、お風呂上りの可愛さ。
やっぱり笑顔じゃないけど、怒ってもいない。
ゆっくりこちらに近づき、多分、いやきっと平静を装って、普通に話しかけてきた。
A「どうした？
今、帰ってきたの？」
有岡「A……ごめん」
A「ん？」
知らないふりするんだ。
有岡「部屋‥‥いい？」
A「…うん。
お母さん、大貴、CD貸してほしいって」
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2019年3月13日 22時
