34 Daiki 回転寿司 ページ34
Daiki
回転ずしでは、カウンター席に、うちのお母ちゃん、おばさん、A、俺と並んだ。
二人ずつで来てるような、そんな空間。
A「ねえ、部活はサッカー部？」
有岡「まあな。
春休み中から、練習あるんだわ」
A「え、大変だね」
有岡「Aは？何部に入んの？」
A「私は、ソフトテニス部に入ろうかと思うんだけど、どおかな」
有岡「あぁ、いいんじゃね。
なんか、Aって運動部じゃないと思ってたから意外だけど」
A「え、無理かな」
有岡「いや、ピアノのイメージで吹奏楽部かなって」
A「あ、おばさんから聞いてるかもだけど、ピアノ、辞めるの」
有岡「知ってる。
ちょっとショックだった」
A「そお？
毎年やってる四月の発表会に出て、それで辞める」
有岡「うん」
A「毎年来てくれててありがとね、嬉しかった」
照れた顔でお礼を言われた。
知られてたなんてびっくりだけど。
あの観客の中で、俺を見つけてたって事に感激した。
・
A「ふふっ、美味しい」
モグモグとニコニコを繰り返してる。
その間に、目を大きく開けて俺を覗き込む。
小さい時から変わってない、俺の話を一生懸命聞いてくれる姿。
小学二年のバレンタインの翌日から、今日の卒業式までという長い間、ずっとこうやって隣にいて欲しかった人。
隣りに住んでるのに、素っ気なくして、関わらないようにしてた事。
すげー反省してるから。
だから、中学生活が楽しみ。
・
A「お腹いっぱいになっちゃった」
有岡「俺も」
二人で真っ黒な空を見上げた。
ホントは手を握りたかったけど、すぐにこの人たちが出てくるのが分かってたからぐっと我慢。
A母「あー、ごめんね。お待たせ！」
母「トイレ、すごく混んでたのよ。
鍵、渡しとけばよかったね」
A「全然大丈夫。
ね？」
有岡「・・・うん」
車の中だったら、手をつなげたなって思って。
大失敗。
お母ちゃんたちは、相変わらず、ずっと喋ってる。
後部座席に座ると、お腹いっぱいになったからか、Aがウトウトしだした。
卒業式で、泣いてばっかいたしな。
俺に体重を預け、頭が俺の肩に乗った。
A「だい・・・・いや」
ムニャムニャと寝言を言っていた。
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年8月29日 23時
