32 Daiki ページ32
Daiki
卒業式後、教室で先生の話を聞き、さようならをした後、卒アルにひと言書き合ってた時。
今だと思って彩ちゃんに近づいた。
なんて言いだそうかと一日悩んでたけど、あっさり向こうから言われてしまった。
・
彩「大ちゃん、今までありがと」
有岡「うん、こっちこそありがと」
彩「ホッとしてる？」
有岡「えっ・・・そんな事ないけど」
彩「無理言ってこんな風になったけど、私は嬉しかった」
有岡「うん」
彩「でもね、色んなとこに出掛けても、大ちゃんはあんな笑顔、一度もしなかったね」
有岡「あんな？」
彩「小5の移動教室で、肝試しの時の写真みたいな」
え・・・あぁ・・・
有岡「Aの事、傷つけたやつ？」
彩「うん・・・」
有岡「心から許せるやつと一緒だと、あんな風な顔になるんだな。
あの件、やっぱ彩ちゃんたちだったの？」
彩「口止めされてるから。
Aちゃん、振り向いてくれそう？」
有岡「無理じゃん。
でも、いいんだ。
今日から俺も、ちゃんとAと向き合えるし。
ってかさ、Aが振り向いてくれるまで付き合おうって、俺、騙された？」
彩「え？なんで？」
有岡「彩ちゃんと一緒にいたら、Aの気持ち、振り向くどころかどんどん遠くに行っちゃう気がする」
彩「さあ、どうでしょう、ふふっ」
有岡「まあいっか。
今日で終わりだし」
彩「あっさりしてるね」
有岡「あぁ、ごめん」
彩「いいの。
大ちゃんなりに、一生懸命付き合ってくれてたの分かってるし。
あーあ、私も呼び捨てで呼ばれたかったなー」
有岡「それは、ちょっと・・・」
彩「いいもん。
今日から有岡大貴は、私の元カレだから。
その称号だけで十分です！」
有岡「あ、そっか・・・」
彩「迷惑？」
有岡「いや、付き合うって最終的に決めたの俺だし、大丈夫」
彩「一年ちょっと・・・無駄な時間を・・す、す、過ごさせ・・・」
有岡「おいっ、泣くなって」
彩「ほら、あっちで泣いてる子いる・・・
行ってあげて！」
彩ちゃんが指をさした方にはAがいて。
すごい顔で泣いていた。
小さい頃から、全然泣き顔変わってなくて。
「大ちゃん、大ちゃん」って俺に助けを求めてきたっけ。
・
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年8月29日 23時
