29 卒業式 ページ29
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A「この鈴のお守りね、何回でもお願いしていいんだって。
すごくない？」
有岡「え、普通、何回もしちゃいけないの？」
A「うん、いけないんだって。
このね、鈴の音もキレイだし買おうかなって」
有岡「へー、何色買うの」
A「白、ピンク、青？紫？
白かピンクなんだよね」
有岡「白にしようよ」
A「え？有岡も買うの？」
有岡「うん」
A「え、でも・・・」
お揃いで買おうって言われてるんだよね。
これって・・・
有岡「ほら、他のやつらだって買ってるし、偶然同じだったって思えば、何てことないって」
A「まあ、有名みたいだから、すごくかぶるとは思うけど・・・」
有岡「きっと、幼馴染の思い出も、小学生くらいまでじゃない？」
A「・・・うん」
何が幼馴染の思い出なのか、自分でも分からなかったけど、
可愛い鈴の音色に惹かれて、同じ白を買う事になった。
そのすぐ後に、彩ちゃんとすれ違ってて
彩「ねえ、大ちゃん、何か買った？」
有岡「ううん、こういうとこのは興味ない」
あ、嘘ついた・・・
なんか、私まで嘘をついたみたいで。
彼女に嘘つくとか、よく出来るよなって思って。
彩ちゃんが、ちょっと可哀相になった。
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秋祭りで二人をみかけ、
クリスマスは映画を観に行ったらしい。
あの日から、部屋に勝手に入ってくることもなくなり、
必然的に、唇を狙われることもなかった。
バレンタインにチューリップサブレを手渡しで渡して。
ホワイトデーにはマーブルチョコだけが入ってた。
それから10日後の卒業式。
卒業アルバムの最後の方に、ひと言みんなに書いてもらった。
「これからもずっとオサナナジミだぞ 有岡」
幼馴染が漢字で書けないのは私も一緒。
それ以上の関係にはなれないと、念を押されてるようなひと言に、苦笑い。
式は滞りなく進み、教室でみんなとお別れして。
その後、親も一緒にファミレスに行く事になった。
親たちはずっと喋ってるので、子供たちはキノコ公園に遊びに行く事なった。
ひとつ心配なのは、彩ちゃんがいなかった事。
A「ねえ、彩ちゃんは一緒じゃないの？」
有岡「あぁ、今日でお別れした」
A「え？うそ・・・なんで・・・」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年8月29日 23時
