15 クリスマスイブ ページ15
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今日はクリスマスイブ･･･
久しぶりに窓を開け、空を眺めた。
小さい頃は、サンタさんが来ないかと目を凝らして見てたのを思い出した。
この突き刺さる寒さが、この時期は和らいで。
クリスマスの朝を、指折り数えてたっけ。
A「さむっ」
声を出さないといられなくなり、窓を閉めようとした瞬間、私を呼ぶ声がした。
「A･･･」
窓を開けると、右側をのぞく癖は治らなくて。
さっきはいなかったけど。
パジャマ姿の有岡が、手を振っていた。
有岡「ちょっと来て。
寒いから、なんか羽織って」
ベランダの手すりの前で、私を手招きしていた。
いくらでも無視できるのに、クリスマスイブという特別な日に、なんだか話したくなって、ブランケットを羽織って、有岡んちのベランダに近づいた。
有岡「何してたの？」
A「暗闇見てた」
少し距離があるけど、こっちをじっと見てるから恥かしい。
私は、暗闇を見上げながら、有岡の質問に答えた。
有岡「なあ、おととい、Aじゃないやつがピアノ弾いただろ」
A「あぁ、伊野尾くん。
私より、全然上手だったでしょ」
有岡「なんか嫌だった。
Aのピアノ弾くとか、」
A「別にいいじゃん」
有岡「キャッキャ、楽しそうだったな」
A「うん、楽しかったよ。
うるさかった？」
初めてここで有岡の顔をのぞくと、口をとがらせて怒ってるみたいだった。
有岡「学校ではあんな声出さねえじゃん。
久しぶりに楽しそうな声聞いたなって」
A「有岡達だって、クリスマス会したんでしょ？」
有岡のくだらないヤキモチが面倒で、また暗闇を見上げた。
有岡「したけどさ、カラオケって自分の歌いたい曲選んで、ドリンクバーで部屋の外に出てって、意外とバラバラなんだぜ。
それで楽しいとか、あんまないじゃん」
A「有岡の歌を聴きたい人が、いっぱいいるんじゃない？」
有岡「いねえよ、そんなの。
なあ、Aはサンタさんに何をお願いしたの」
A「えっと、洋服」
有岡「洋服、いっぱい持ってるじゃん」
A「そうでもないけど。
有岡は、ゲーム？」
有岡「お母ちゃんサンタにはゲーム。
ホントのサンタには、彼女」
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作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年8月29日 23時
