22 8/20-22 ページ22
・
面会時間が終了しても、やる事はあって。
だるさはまだ、抜けなかった。
・
月曜日になって、大貴も仕事が始まった。
来なくていいって言ったのに、20時ころ現れて、一時間はそばにいてくれた。
翌火曜日は、ちょうど悠ちゃんの授乳の時間で、来た事さえ気がつかなくて。
育児日記のお父さんからひと言の欄が埋まってたので、分かった。
水曜日は午後半休をして、出生届を出してきてくれて。
退院後にって思ってたけど、退院が土曜になりそうで。
その後、面会に来てくれた。
A「ありがと、大丈夫だった？」
有岡「うん、これ見て。
母子手帳にハンコ押してもらった」
A「ホントだ」
表紙の「子の氏名」の所に、大貴の字で「有岡悠貴」と名前が書いてあった。
自分の名前と一字しか違わないのって、どんな気持ちなんだろ。
これで悠ちゃんも公式に認定されて。
私たちも公式に親になって。
責任持って育てていきたい・・・そう思った。
・
・
翌木曜日は、沐浴の指導と、調乳指導。
金曜日は、沐浴を実際にやってみた。
A「大貴、沐浴、まずいよ。
つるつる滑って、危ない」
有岡「桃ちゃん・・・じゃなくて、悠ちゃん、泣かなかった？」
私は朝から晩まで「悠ちゃん」って接してるけど、大貴はまだ馴染まないんだ。
A「大丈夫だった。
明日から出来るかなー」
そう、明日の土曜日、退院出来る。
色んな不安で、お母さんになれるんだろうかって泣いてたけど。
たった10日で、大変さの中、ふわっと現れる幸せな気持ちに癒されるようになった。
もちろん悠ちゃんが可愛いからってのはあるけど、やっぱり大貴の存在が一番かもしれない。
・
自分の気持ちを、なかなか言えなかった男の子が、
しっかりと私を支えてくれた。
一生懸命寄り添ってくれる大貴を、誇りに思うよ。
面会終了のアナウンスが流れた。
大部屋の仕切られたカーテンの中で、日課となっているキスをする。
どちらかと言うと、キスの前に、ギュッと抱きしめられる方が好き。
寄りかかる私を、受け止めてくれて。
「ありがとね」ってねぎらってくれる。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 552人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年5月14日 22時
