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有岡「ど、ど、ど、どうしよー!」




助産師「大丈夫、元に戻してください」




慌てて、もと居たところに置いた。




助産師「ごめんなさい、ちょっと不安定だったのかもしれません。

  落ち着かなかったのかも」






有岡「すげー元気だわ」





助産師「そうですね、大きな声出ますし。

  お父さんの指を、つかませてみてください」





有岡「え?こお?」





ギューッと握った小さくて細い指に、俺の小指が触れたら、俺の小指をギューッて握ってきた。

そして、声が小さくなった。





有岡「あっ!あっ!あっ!」





助産師「なんか握らせると、落ち着きます」





有岡「やべー、可愛い」





そんな風に、片手は桃ちゃんにつかまれて、もう片手で頭を撫でたり、ほっぺをつついたりしてたら、ガラスの外で、お義母さんが俺を呼んだ。





義母「大ちゃん、A来たよ!」





有岡「あっ、えっと」




助産師「ゆっくり指を抜いてもらえれば、大丈夫です」





有岡「ごめん、桃ちゃん。

  ママ来たから、見てくるね!」





助産師さんが、ちょっと笑ったのが聞こえたけど、

大慌てで、この部屋に入る為に着たものを脱ぎ、ゴミ箱に捨て、エレベーターの方に向かった。




お義母さんとお義父さんの背中を追い越し、ピョコっと前に出た。
















A?




A・・・・だよね?





あまりにも衝撃的な姿に、言葉が出なかった。

ベッドの上に仰向けに寝て、目を閉じていた。

口には、酸素を送るマスクをつけ、点滴の袋が頭の上に下がっていた。



お布団をかけていたので、中はどうなってるのかわからなかったけど、いつもニコニコしてるAは、どこにもいなかった。




有岡「A・・・」





義母「お姉ちゃん、お疲れ様・・・」





有岡「A・・・大丈夫か」




少し、大きな声で呼んだからか、ゆっくりと目が開いた。

それも、ちょっとだけ。




酸素のマスクの中で、少しだけ口が動いたけど、何を言ってるのかわからなかった。





先生「おめでとうございます。

  麻酔が効いてるので、ちょっと無理かと思います。

  あと3時間くらいで麻酔がきれるので、痛くて起きると思います。

  後陣痛(こうじんつう)も始まりますんで、痛み止めで対応させていただきます」




有岡「後陣痛?」






先生「子宮が元の大きさに戻ろうとする時に痛みがあるんです」




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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年5月14日 22時

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