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たまに見える大貴の顔は、口を真一文字に閉じ、眉間にシワを寄せていた。
男の人って、こういうの苦手だと思うから、逆に心配になった。
看護師「そろそろガス出ましたかね」
何てこと、大貴の前で聞いてくれてんの!!
A「まだです」
看護師「ガス出ないと、飲み物もダメだから。
また、唇、濡らしましょうか」
A「お願いします」
夏だって言うのに、熱があるって言うのに、腸が動くのを確認するまで、飲食禁止とか・・・辛い。
せめて、お水くらい自由に飲ませて欲しいのに・・・
朝から何度か、濡れたガーゼで唇を濡らしてもらってる。
ひとくちだけ、スポーツ飲料ももらった。
寝ながら飲むのとか、大変・・・
看護師さんが去った後、またベッド脇に座った。
A「見なきゃよかったでしょ?」
有岡「ううん。
Aの大変さを、ちゃんと理解してたいから。
やっぱ、出産って大変なんだな」
A「ずっと寝てるのも、背中とか腰が痛くなるし、辛いね」
有岡「早くガスが出るといいな」
A「あ・・・うん」
きっと、本気で心配して、そう思ってくれてるんだろうけど、その話は恥かしいのでやめて欲しい。
A「ねえ、そこのバッグから、リップとスマホ出して」
口がカラカラなのを、リップで誤魔化したい。
そして、やっと時間がわかるようになった。
A「そうだ、売店で、ペットボトル用のストローとお水を買ってきて欲しいの」
有岡「あ、もう飲めそうなの?」
嬉しそうに聞かれた。
A「違う。念の為」
なーんだ・・・とブツブツ言いながら、出て行ってしまった。
やっぱりちょっと疲れたし、。
体拭いたときに入れてくれた痛み止めが効きだして、大貴が戻ってくる前に、また寝てしまったようだ。
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面会時間の21時ギリギリまでいてくれて、何をするわけでもなく、私のどこかをさすってくれていた。
面会終了の放送が流れると、チュッと唇にキスをされた。
水分を欲してる唇が、カサカサのカラカラで。
恥かしさで、唇にギュッと力を入れた。
有岡「また明日な」
A「うん、気を付けてね」
数名の面会者も帰り、また静まり返ってしまった。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年5月14日 22時