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頭を支えてる左手で、耳を閉じて髪を洗ってあげるんだけど、上手に器用にやっていて、感心しちゃった。
有岡「今何分!」
A「6分」
有岡「急がねえとな」
A「焦らなくて大丈夫だよ」
そうやって、落ち着かせようとしたのに、急に大きな声を出した。
有岡「うわぁ!え?どういう事?」
A「え、何?」
有岡「へ、へ、へそが!
なんか変!」
A「あ、へその緒取れたんだね。
ちょっと、大切にしないと!」
有岡「わー、俺のへそまで気持ち悪くなってきた」
A「やだ、ちょっと」
有岡「えっと、ひっくり返せない!
俺もあれやりたい!」
A「ま、待ってって。
行くよ!せーのっ!」
なんとか背中を洗える体勢になり、ふと大貴の顔を見ると、額に汗が玉になっていた。
大貴の首にかかっていたタオルでふいてあげると、「サンキュッ」って小さく言われて。
その優しい言い方が、とっても好きなやつだった。
有岡「何分?」
A「18!」
急に現実に戻されて、それにだいぶタイムオーバーしてるし、大貴は口をとがらせたまま、バスタオルの上で悠ちゃんを拭いていた。
ビデオの録画を止め、初めてなのに上手に出来てたって褒めたら、
有岡「おっ ぱいはやれねえから、俺が出来る事は、なるべくやりたい」
A「うん、ありがと」
有岡「そこ片付けもやるから、Aは座ってて」
A「あ、うん」
私の優しい旦那様
夜中の大変な授乳も、頑張らないとって思えてくる。
その後、オムツを買いに行ってくれて、泣くと抱っこしてくれて・・・
少しまとまってお昼寝も出来た。
夕飯を食べて、大貴は帰る事になった。
有岡「もう、毎日は来れねえからさ」
A「うん、分かってる。
電話も、出られないと思うし」
仮の部屋のベビー布団の上で、悠ちゃんは一人で遊んでいる。
大貴が私の左手首をつかみ、私を胸の中に引き寄せた。
有岡「大変な事だらけなのに、手伝ってやれなくてごめん。
また来週な・・・」
A「うん・・・」
そしてキスをしてくれて、
悠ちゃんの頭をなでて、
お母さんたちに「よろしくお願いします」と挨拶をして、帰っていった。
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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年5月14日 22時