19 Daiki side ページ19
大貴 side
Aの所から戻って間もなく、「そろそろチャペルへ移動します」と告げられた。
廊下に出ると、Aの控室の前では、沢山の人がAを囲んで、
アテンダーさんがドレスの裾を少し持ち上げて、移動する準備をしていた。
あっ、うちの母ちゃんまで、向こうに行っちゃってるし。
参列者は、早くチャペルに行くように言われてたのに、大丈夫なのかよ。
写真撮影の時より、Aの笑顔が自然になってて、
きっと、さっき俺がしたおまじないが、きいてるんだな。
チャペル脇の小さな控室で、少し待たされたあと、俺と神父さんが先に行く事になった。
Aに「待ってるね」って告げると、ちょっと目をうるませてコクンとうなずいた。
重たそうな扉の前で待ってる時から、ずっと、緊張感のない事を思ってた。
だって、Aがそばにいないから、寂しいじゃん。
付き合って2年もたってないのに、結婚する事になって、
Aは不安じゃないかなとか。
これから、しっかりやらないと、とか。
やっぱ、鎖骨キレイだったな、とか。
伊野ちゃんと光くんだ、とか。
腹減ったな、とか。
祭壇の前に着いて、今度はAが入ってくる番だなって思って。
入口の方を見たら…………
お母さんが、ベールダウンってのをやってたんだ。
Aは背筋をまっすぐにしたまま、腰を落としてて。
ベールダウンって、邪悪なものから花嫁を守るといわれているウェディングベールを、
結婚式が始まる前にお母さんがおろす儀式なんだって。
母親が新婦にする、最後の支度なんて言われてるんだって。
そのベールを降ろして、お父さんとバージンロードを進むんだけど。
バージンロードは、花嫁の今までの人生の道のりを表しているらしくて。
ウェディングステップの一歩は、1歳。
二歩は、2歳。
今までの人生を振り返るんだって、全部Aが教えてくれたんだ。
お母さんは、ハンカチで目を押さえてて、
きっとAも泣いてたと思う。
ベールの下の顔が、よく見えないんだけど。
今度はお父さんと、一歩ずつこちらに近づいてくる。
さっきまで一人で、バカみたいな事考えてたけど。
急に胸がギュッと痛くて、熱くなった。
・
710人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:やまぱん | 作成日時:2016年11月23日 15時