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Daiki





有岡「え?恥かしい?」





頭をこくんと縦に振り、上目遣いで俺を見た。

せっかく斜め掛けのバッグにしまったスマホを取り出し、何か操作しだした。

そして、俺の目の前に、画面を差し出して見せた。




恐る恐る受け取り、その画面を見ると、「妊婦」という文字が見え、その先を読み進めた。









妊娠中





トラブル





便秘











そんな言葉が並んでいて、画面から視線を上げ、Aの顔をパッと見た。


一瞬目が合ったのに、また下を向いてしまった。





A「・・・だから」





小さい声で、聞き取れたのは「だから」だけだった。




有岡「え?なんて?」




一歩近づいて、問いただした。





A「だからっ!」




急に声を張り、俺の手からスマホを奪った。




A「時間ないから、行こ」





有岡「あ・・・うん」





玄関に向かって歩き出し、俺も慌てて財布とスマホを持って後を追った。













助手席のAは、まっすぐ前を向き、口をとがらせている。



俺がシートベルトを引っ張ると、Aも引っ張る。

いつものやつだ。



駐車場から出るタイミングは、絶対話しかけてこない。

危ないっての知ってるみたい。









A「さっきの・・・」




有岡「あ?」




急に話しかけられて、ビックリして。


チラッと助手席に視線を送ったけど、Aは進行方向を見たまま続けた。








A「なっちゃったの・・・多分だけど。

  恥かしいから・・・大貴には・・・知られたくなかった・・・」





声が震えてる・・・


もしかして泣いてるの?





有岡「え?便秘?

  え?痔とか?」






A「ばかっ!」





俺の左肩を、パシンッと叩いた。





A「言わないでよー」





玉マタの駐車場に、バックで停めようとすると、どうしても助手席が視界に入ってくる。


目を真っ赤にして、口をギューッとつぐんで、俺の事にらんでるし。




無事に駐車完了したので、シートベルトを外すと、Aもゆっくりとシートベルトを外した。





有岡「ちょっと待って。

  なんで、そんなに怒ってんの」





A「だって!

  好きな人に、そんな事知られたくない!」





ちょっと怒った言い方・・・



やべー、可愛い・・・





Aの両手を、俺の両手で包んだ。






 

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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年2月21日 21時

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